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Vol.212 市のシンボル鳥

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  ペンギンが市のシンボル鳥に決まりそうだ。
ペンギンが鳥?と訝る子供達が、中には大人もおられるかも知れない。
鳥である決定的な証拠は、体に羽毛が生えていることだそうである。羽毛恐竜というのが時々新聞の話題になるが、体に羽毛も持つ動物は、現代では鳥以外にはいないらしい。
先にシンボルに認定されている市の動物であるクジラ(イルカやスナメリも含めて)や、市の魚のフグの仲間は、下関の周辺の自然界で見ることができる生き物であるが、ペンギンは、周辺の自然界で見ることができないのが、先の2つのシンボルと印象が多少異なる。チリのアルガロボや、南アのサイモンズタウンのように、日常、海岸や家の庭先や道路で偶然市民の目に触れるということはない。現在、市内は勿論、県内でも多分、海響館のペンギン村の外でペンギンを見ることができないのではないだろうか。
しかし、実はペンギンかも知れないと話題のペンギンモドキの化石が、北九州や市内の彦島などから発見されている。ペンギンだと同定されれば、地質時代を何千万年か遡れば、下関周辺の海にもペンギンが生息していたことになる。
市とペンギンのかかわりは、報道によると、昭和32年に、旧大洋漁業の捕鯨船が下関港に入港し、旧水族館にエンペラーペンギン1羽が寄贈されて以来というから半世紀以上になる。
当時、赤道を通過して、極寒で生活していた鳥の輸送は大変だったのではないだろうか。平成12年の旧水族館の閉館時に発行された「下関水族館:さようなら そしてありがとう」記念集をみると、色々なペンギンが下関市に来た経緯がよくわかる。
昭和32年には、エンペラーの他にアデリーやフンボルトも入館している。2年後の昭和34年にはヒゲペンギンが12羽、そして35年には珍しいロックホッパー(イワトビペンギン)が1羽日本で2番目に入館している。昭和36年、我が国初の温順ペンギン(ジェンツーペンギン)10羽が入館したとある。翌年37年には、日本で初めてコビトペンギン(コガタペンギン)1羽が入館と日本初が続いている。同年キングペンギン13羽も加わり、総数27羽の大所帯で、フンボルトペンギンの第一号誕生もありペンギンには最もスポットライトが当たっていた時代ではないだろうか。捕鯨が盛んだった時期と重なる。今はあまり使われない温順ペンギンとか、コビトペンギンの表記も時代を感じさせる。
少し気になるのは、ペンギンの初来日については、上記と異なる記述もある。(注1&2)ジェンツーペンギンは、下関より9年早い昭和27年に上野動物園に、コガタペンギンは、昭和36年に上野動物園と名古屋の東山動物園に、それぞれ初来日したとされている。他のペンギン関連資料を探してみたが、市内の図書館では見つけられなかった。
ペンギン村の開村当初、ニュージーランドはペンギン王国で7種も生息していると話したところその内訳を聞かれ、全種類を答えられなくて困ったことがあった。それ以降、ニュージーランドには、「巣羽石 富貴子」さんが住んでいると覚えることにした。それぞれの頭文字からの命名である。「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」のゴロ合わせでと同じ記憶術?である。ところが、最近は、「巣羽石 富貴子」そのものを忘れていることがあり、あまり物忘れ対策になっていない。対策の対策が必要になってきた。
「巣羽石 富貴子」の内訳は、現存ペンギン18種中、スネアーズ、ハネジロ、イワトビ、シューレーター、フィヨルドランド、キガシラ、コガタ、の7種である。まさにペンギン王国であるが、国鳥は、何故かペンギンでなく、同じく飛べない鳥:キウイとなっている。同国の硬貨にはキウイが描かれているが、紙幣は、やはりペンギン王国らしくキガシラペンギンである。
ペンギンが5種類も生息している島がある。英国領フォークランド諸島である。こちらにはキママジイ(気まま爺)さんが住んでいる。キング、マゼラン、マカロニ、ジェンツー、イワトビである。フォークランド戦争前は、気ままな生活をしていたと思われるが、戦後はどうなのだろうか。
地雷がなお何万個も埋まっているらしい。この島で使われている1ペニー硬貨の片面は、エリザベス2世の肖像だが、他面はペンギン(キング?それともジェンツー?)2羽が描かれている。地域固有の動植物をシンボルとして人々に衆知させるのには、通貨が効果的のようである。
ちなみに、海響館にも「藤井真紀」というペンギン語がわかる温・亜寒帯グループがいる。フンボルト、ジェンツー、イワトビ、マカロニ、キングのグループである。5種をその体の大きさの順に日本の硬貨に描くとすれば、キングは¥500硬貨に、ジェンツーは¥100、マカロニとフンボルトは、2羽併記で¥50硬貨に、そしてイワトビは、¥10硬貨といったところか。フォークランド諸島と同様5種類だが、これらはさすがに「藤井真紀」に頼らなくても即座に回答できる。今のところはという条件付で。

解説ボランティア:唐櫃 山人

注1:「ペンギン大百科」(トニーDウイリアムス著、ペンギン会議訳 平凡社)
注2:「ペンギンに会いに行こう!!」(ペンギン・スタイル著 上田一生監修)

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