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Vol.215 いろ・イロ

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 その昔、半世紀以上前「地球は青かった」と報道されたのは、ソ連宇宙飛行士ガガーリンの第一声だった。彼が、緑を青と言ったとは思えないが、日本では、昔から緑が青と呼ばれることがよくある。例えば、交通信号をはじめ、青竹、青虫、青野菜など、何れも「緑」を「青」と言っている。

昨年は、いろいろ、「イロ」が話題になり、色で年が明け、色で暮れた年でもあった。年初には、スタップ細胞のプレゼンテーションで「緑色」に輝いた細胞が、スクリーンに映し出されていた。これは結局残念な結果に終わったが、一方、年末には「青色」発光ダイオードが、ノーベル物理学賞に輝いた。
海の生物でも、アオウミガメは、外観は青でも、緑でもないのにこう呼ばれているので、不思議に思っていたが、脂肪が緑色のように見えるのだそうだ。ここでも緑を青と呼んでいる。ちなみに、英名はblue turtle でなくgreen turtleで、ミドリガメとなるが、北米産の外来種で正式名称はミシシッピーアカミミカメ、別名ミドリガメがいるので紛らわしい。アカウミガメの方はどうなのだろう、脂肪が赤いのだろうか? 子供のアカウミガメは、赤茶色なので外観からの命名かもしれない。
よく話題になる赤身の魚、白身の魚も身の色からだけで判断すると間違うことがある。マダイ、サケ、サワラの中で、赤身の魚は、とクイズを出されたら、サケと答えそうだが、実は、サワラである。身は白いのにと反論したくなるが、色素タンパク質の量で定義されているのでこのようになるのだそうだ。

色は世につれ、世は色につれ、現生のペンギンの白黒のタキシード姿は鳥類のなかでもユニークであるが、その昔、と言っても こちらは半世紀どころか、3,600万年前の昔、ペンギンのカラーパターンは、背中の方が灰色で、腹側は赤茶色だったそうである。
4~5年前に報道されていたが、昨年末に専門家の講演で再度聞く機会があったので印象が深まった。皇帝ペンギンよりかなり大きい、こんな色の巨大ペンギン(1.5m)が、赤道付近をよちよちとペンギン歩きをしている姿を想像するのはちょっと難しい。

戦後、映画の世界は、モノトーンの暗い世界からカラーに大変身した。昭和20年代の中ごろだっただろうか、当初は洋画が多かったが、総天然色映画と呼ばれ、それまでの白黒映画より5円ほど高い30円だったと、忘れてもよいようなことが記憶に残っている。カラーで見たインパクトがそれだけ強かったのかもしれない。
昨年、大晦日の数日前、「3億年前の魚、色を見分けた」のニュースが流れた。専門家によると、30cmほどのこの魚は、世界をカラーで見ていたらしい。魚の視界も総天然色だったのだろうか、それとも特定の色だけが識別できたということではないのだろうか。

毎年、5月の連休前後に海峡におし寄せるコウイカは、個人的体験では赤い餌木に掛かる確率が高い。緑と赤の餌木を同時に沈めても、ほぼ赤に掛かる。赤色を好むのか、それとも敵として攻撃している間に掛かってしまうのかよくわからないが、コウイカは特定の色を見分ける目を持っているようである。
年賀状も最近はカラフルなものが多い。昨年末、賀状を印刷しおえたところで、絵の具の三原色マゼンダ(赤紫)、シアン(空色)、イエロー(黄色)のうち、マゼンダが切れ1年が終わった。

解説ボランティア:唐櫃 山人

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