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サンゴ礁水槽の見慣れない生き物達
私達展示スタッフは、毎日誰かが水槽に潜って掃除をしています。もちろん、私も例外ではありません。ただ私の場合は、それに加えて他の人は行ってないであろうことを行っています。場所は決まって海響館2階、熱帯域の海水魚を多く展示飼育している水槽、通称「サンゴ礁水槽」。行っていることは水槽内にある石を捲ってみること。なぜかそんなことをしているのか?意外な出会いが待っている可能性があるからです。
今回は、そんな出会いを紹介したいと思います。
まずはウミシダの一種の幼体。大きさは3cm程度。
まだまだ小型なため、スカスカとした見た目ですが、成体は鳥の羽が何本も生えているような見た目になります。

次はケブカガニ。名前の通り、全身が細かい毛で覆われています。海外ではテディベアクラブと呼ばれているとか。そんな可愛らしいカニですが、体内には毒性物質を蓄積しているとも言われています。

コシオリエビの一種。これも小さく、写真の様に腕を伸ばした状態で、腕の先から体の後端まででも3cm程度しかありません。水槽内にはそれなりの個体数がいるようで、かなりの頻度で遭遇します。ちなみに4つ隣のサンゴの水槽にもいます。

最後はノコギリガニ。このカニは今回紹介した中では最も大きく、甲羅の幅だけで4cm程度はあります。派手な赤色をしているので、たまに水槽の上からでも確認することがあります。

さて、今回は4種の生き物を紹介しました。どれも小さく、サンゴ礁水槽で展示飼育するには、正直不向きです。そしてなにより基本的には岩の裏にいて見えることはありません。ではなぜそんな生き物たちがいるのか。実は、これらは意図せず育っている生き物たちなのです。
自宅で水槽を管理している人なら心当たりがあると思いますが、生き物を飼育していると、入れた記憶のない生き物が入っていることがあります。その生き物たちは、購入した魚が入っていた水や、レイアウト用に入れたものなどにひっそりと紛れていることがあります。
今回紹介した生き物たちも同じで、どこからかやってきて成長しているのだと思います。
そんなスペシャルゲストが潜んでいる可能性があるので、私はまた水槽で石を捲ってみるのです。次回は何が待ち構えてくれているのだろうか。楽しみです。
魚類展示課 飯島 卓也