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特別展示の裏話

皆さん、海響館では季節に合わせて特別な展示を行っている事はご存知でしょうか?
ハロウィンやクリスマス、お正月にバレンタイン…
それぞれ、来館者に喜んでいただく事を第一に、その雰囲気にあった展示物を作成したり、そこから連想される生物を展示したりしていますが、さらにスタッフの伝えたい思いも合わせて盛り込まれた展示になっています。

今回は、2023年の2月末から3月頭にかけて展示した”ひな祭り”の特別展示の裏話をしたいと思います。

今年のひな祭りではこんな2つの水槽を展示していました。
1つはお内裏様とお雛様にかけて、”トノサマ”ダイと”ヒメ”ツバメウオを展示した水槽、もう1つは水槽内にひな壇を設置した水槽です。

このひな壇の水槽が、今回の話のメインで、この題材で記事を書こうと思ったきっかけにもなった水槽です。

実際に作成する前のイメージはこんな感じでした。

ここには
・雰囲気に合う様に【水槽内にひな壇を設置する】
・喜んでもらえる様に【三人官女と五人囃子を生き物達に代わりに担ってもらう】
・【生き物達の砂の中の様子を見えるようにする】ことでより生き物達の事を知ってもらいたい
という考えと思いがありました。

しかし実際の展示ではこんな事に…

おわかりいただけますか?
黄色い丸の所に居ます・・・

三人官女の所に居るはずのチンアナゴが下の段にも移動していたり、五人囃子用の穴が埋まっていたり、ハゼが一部に集まっていたり…

結果、自分の理想とは異なる物となってしまいました。
やはり相手も生き物。なかなか思い通りには行かないものだと改めて痛感しました。

そこで、その苦労を皆さんにも共有してしまおう!というのが今回の記事となっています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本当の裏話。
展示に至るまでバックヤードではこんな試行錯誤がありました。

まずは三人官女を担う予定だったチンアナゴから。
当初は2段目の中をすべて透明なビーズで埋め、開口している部分から顔を出してもらおうという計画でしたが、開口していない部分で隙間が空いた所から顔を出されてしまいました。
次に開口部に合わせて、小さい穴を沢山開けた透明な筒をいれ、その中に入ってもらおうとしましたが、すぐに逃げ出してしまいました。
原因を考えたとき、チンアナゴ自身が埋まっている感覚が弱く、安心出来ない可能性があると考えられました。
そこで見えにくい底の部分に厚めに砂を入れ、その上から透明ビーズを入れてみました。
そうすると、なんという事でしょう!ちゃんと入ってくれたのです!

まぁそれもつかの間の出来事でしたが…

次は五人囃子を担う予定だった共生ハゼの仲間とテッポウエビの仲間です。
この生き物はテッポウエビが巣穴を掘り、ハゼが見張りをするという変わった生き様をしています。
その様子が見えるよう、人工的な巣穴を作成しガラス面につけてみたのですが、意図しない色んな所を掘りまくられたり、想定外の組み合わせになっていたり…

仕方なく、砂のある体積を減らして掘れる場所を制限しました…
ただ、こうなるとエビの穴を掘るという行動にも制限をかけてしまい、あまり良くありません。
そのため、本来見せる予定だった一段目の赤い天板の上にも砂を盛り、エビが砂を掻き出しても砂が落ちてきて、また掘れる状況になるように工夫をしてみました。

他にもまだまだトラブルがありましたが、きりがないのでこの辺りで終わりにしようと思います。

さて、来年はどんな展示をしようか…
次回はかっこよく決めたいものです。

魚類展示課   飯島卓也

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