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ウニランタンづくりの裏側

皆さん、夜の水族館で特別展示した「ウニランタン」見てくれましたか?ウニランタンとは、ウニの殻を使用して作ったランタンのことです。今回は、ウニランタンを見た人も見てない人もウニランタンが作りたくなるような展示の裏側をお話していきたいと思います。

まずはウニランタンの仕組みについてです。皆さんはウニの殻を見たことがありますか?生きている状態では分かりにくいと思いますが、ウニの殻には大小さまざまな孔が開いています。これらの孔は生きていくために必要不可欠ですが、何のために空いているのか、ウニの殻を使いながらご説明します!殻の一番上にある小さな丸い孔は肛門です。たいていのウニの仲間は体の上部からウンチをします。

肛門の反対側、下側にある大きな孔は口です。生きているときはこの部分に「アリストテレスの提灯」と呼ばれる咀嚼器がついており、ここで食べ物を食べています。

そして側面にある無数の小さい孔は「管足」が通る孔です。

「管足」とは、人間でいう足や手の役割を持つ器官です。管足は海水で満たされており、管足を使ってウニは自由自在に移動したりくっついたりエサを捕まえたりします。このようにウニの殻には孔がたくさんあるため、ウニの殻の中にライトを入れるとその孔から光が漏れて綺麗なランタンになるのです。

今年の夜の水族館では大々的にウニランタンの展示を行いましたが、実は以前にも何回かウニランタンの展示を行ったことがあります。しかし過去の展示では、いくつか問題もあり納得のいく展示になっていませんでした。その問題点とは…ウニ殻の強度と殻から漏れる光の弱さです!ウニの殻はとてももろく、軽く触っただけで割れてしまうものもあります。割れるのを防ぐために離れて見てもらう展示をしたこともありますが、遠すぎてランタンの美しさをあまり伝えることができませんでした。また、もろい一方で殻自体は厚く管足の孔も小さいため、光を通しにくく周りが明るい状態や離れている状態だとあまり綺麗に見ることができませんでした。

今回はより近くできれいなウニランタンの展示を見ていただくために過去の問題点を改善しました!まずは、ウニ殻のもろさです。近くで見て、時には触っても大丈夫なように樹脂でコーティングしてみることにしました。すると、なんと人が乗っても大丈夫なくらいの強度を持つようになりました。強度チェックの様子は「スタッフの視点」に投稿しているのでチェックしてみてください!

次の問題点は殻から漏れる光の弱さについてですが…なんと!樹脂でコーティングしたら光が反射するためか強い光が漏れるようになりました!これは想定外の結果でした。
これで完璧と思いたいところですが、少し残念な点もあります。残念な点とは、樹脂でコーティングしてしまうとウニ本来の色味が消えてしまうことです。

写真はどちらもムラサキウニですが、コーティングしている方はムラサキウニ特有の緑色や紫色が消えてしまっています。今後の目標は漏れる光と強度を維持しつつ、ウニ本来の色を残すことです。いつか皆さんに完璧なウニランタンを見せられるように頑張ります!

皆さんにウニ殻の魅力を知ってもらうために開催したウニランタン展示ですが、なぜか私の机の周りがウニ殻だらけに…笑。

その魅力にハマってしまったのは私の方だったようです。これをご覧になった皆さんもウニにハマってもらえたら嬉しいです!

魚類展示課 宮澤萌

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