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“タイ”の沼へようこそ

2月の臨時休館が終わり、またお客様と触れ合えることが嬉しい今日この頃、2階の自分担当水槽の展示を、クサウオから少し深い海の魚たちに変更しました。魚たちの美しさに惚れ惚れしながら見ていると・・・私、気づいてしまいました。みんな、種名にタイってついている!

こんな偶然ある!?そこで今回、タイと名のつく魚について調べた“探検”の結果を、皆様に語らいたいと思います。

★~ダイは日本に何種?

まずは、日本に「タイ」とつく魚はどれほどいるでしょう?マダイ、クロダイ、イシダイ…調べてみると、日本産魚類約4700種の内、タイとつく魚は何と446種!※

色んな魚がいるのに、実に日本の魚の 10種に1種が「◯◯ダイ」。でも、タイってこんなに多くの仲間がいるの?そう思った方、鋭いです。実はこの中のほとんどの魚が、“偽物のタイ”なのです

★本物のタイ?偽物のタイ?(以下、「本物」「偽物」と書いています)

“偽物”を知るためには、“本物”を。塩焼き、お刺身、鯛めし…私たちの食生活でタイと呼ばれるのは「マダイ」に代表されるタイの仲間(タイ科と呼ばれるグループ)です。日本のタイ科魚類は、オキナワキチヌ、キチヌ、ナンヨウチヌ、クロダイ、ミナミクロダイ、イワツキクロダイ、ホシレンコ、タイワンダイ、キビレアカレンコ、キダイ、ヒレコダイ、チダイ、マダイ、ヘダイの14種※。“偽物”に比べてかなり少ない!おまけに、中にはキチヌなど「タイ」とつかない種も。恐ろしくややこしいタイ界隈の名称と種数を図にしたものがこちら。

わかったことは“本物”に比べて“偽物”が多いということ。では、どうしてこんなにタイとつく魚が多いのでしょうか。

★偽物のタイはどう名付けられた?

魚の名前はどう決まるのでしょう?魚類の正式な名前は標準和名と呼ばれ、こんな命名ガイドラインが定められています:①形や仲間を参考に、②広く受け入れられる言葉で、③差別的な言葉を使わずに、など。

ここから、私は2つの仮説を考えました。

仮説1:~ダイと呼ばれる魚は形が似ている。

仮説2:~ダイという呼び方は広く受け入れられやすい。

★どっちかな?

仮説1は残念ながら、違いそうでした。なぜなら、海響館で飼育したことのある魚たちだけでも、本物のタイとは似ても似つかないものが多いから!今回の水槽のタイたちに共通するのは、体が赤っぽい、鱗がごつい、おいしい(荻本感想)、など。だけど、こんな例外もいます。

う~ん、どうやら、形や特徴ばっかりではないようです。。。

それでは仮説2。こちらの方が有力そうです。その理由は、日本人のタイのイメージから、~ダイという名前は、①意味がわかりやすく、②呼びたいと思われやすいことが伺えるから。
①を裏付けるのはタイの有名さ。現存する日本最古の書物「古事記」、最古の歌集「万葉集」にもタイが登場、その後も日本の食文化と切っても切れない魚であり続けました。しかし、古事記や万葉集には他にも、「すずき」、「あゆ」、「しび(マグロ)」なども出てきます。どうしてタイばっかり!?と思ったときに、②の理由。タイには「おめでたい」イメージがあります。七福神の恵比寿様がタイを持っていたり、結婚式の披露宴や正月にタイが重宝されたり、鯛を縁起物とする文化は日本各地にあるようです。どうでしょう、魚の名前をつけた人の、「すてきな名前で、ずっと呼んでほしい」という気持ちがあったとしたら、なんだか素敵なお話ではありませんか!?

あなたはどんな魚がタイっぽいと思いますか?水族館の種名板を見ながら、魚名に思いを馳せてみるのも乙な楽しみ方かもしれませんよ!是非、僕の“タイ水槽”も見に来てくださいね!

※魚類の種数の情報は、下記から引用しました。
日本産魚類全種リスト

https://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/jaf.html

2024年3月16日閲覧

魚類展示課 荻本啓介

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