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山口県といえばこのサンゴ!

 みなさんは「ニホンアワサンゴ」というサンゴを知っていますか?皆さんが「サンゴ」と聞いて想像するものとはちょっと見た目が違うかもしれませんが、れっきとしたサンゴの仲間です。見た目は変わっていますが、小さなお花のようでとても美しくないですか?

実は山口県には日本最大級のニホンアワサンゴの群生地があります。海響館では二ホンアワサンゴの育成を実施しており、受精した卵が自力で動けるようになった「プラヌラ幼生」という状態から育成を行っています。そこで今回は二ホンアワサンゴのプラヌラ幼生採集のお話をしていきます!

 下関から車を走らせること約3時間、山口県の東側に位置する屋代島(周防大島)に二ホンアワサンゴの群生地はあります。一見地味そうに見える二ホンアワサンゴですが、この海域一面に群生しているので上から見る風景はとてもきれいでした!

周防大島は国立公園の海域公園地区(※1)に指定されているため、プラヌラ幼生の採集は許可を取って行いました。二ホンアワサンゴは受精後卵を体内でプラヌラ幼生まで育成し水中に放出します。赤く囲った白い丸い粒々がプラヌラ幼生です。

採集にはスタッフが作成したプラヌラ幼生採集セットを使用し、ポリプ(※2)一つ一つから吸い取っていきます。サンゴを傷付けないように丁寧に採集するのはとても緊張する作業でした。

吸い取った卵は波に流されないように袋に入れていきます。

採集したプラヌラ幼生は海響館に持ち帰り、育成を開始します。自然界ではポリプから放出されたプラヌラ幼生は水中を漂い、しばらくすると岩などに着生し(くっつき)成長していきます。海響館でも海水を張った水槽に石などを入れ、プラヌラ幼生が着生するのを待ちます。採集から1カ月程度経過するとプラヌラ幼生は完全に岩に着生し、なんと丸い小さなプラヌラ幼生からポリプの姿に成長していました!

まだ、大きさは2㎜程度しかないのでじっくり見ないとよくわかりませんが、このサイズでも成熟したポリプとほとんど同じ形になっています。これからどのくらい大きくなりどんな美しい景色を作り出すのか今からとても楽しみです!

魚類展示課 宮澤萌

※1海域公園地区:国立公園、国定公園内の海面や海中において、サンゴ礁や藻場などの優れた景観の維持や保護、生物資源保護を目的として指定された海域のことです。動植物の採集には環境大臣や都道府県知事の許可が必要になります。

※2ポリプ   :ニホンアワサンゴの場合は、花と茎のようになっている1つ1つがポリプです。たくさんのポリプが集まり、二ホンアワサンゴの群体を形成しています。

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