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何が居るかな??

皆さんは海を眺めるときには何を考え、思いながら眺めますか?
私はやはり飼育員なので海に目をやる時には、子供がプレゼントの箱を開けるようにワクワク、ドキドキしながら、どんな生き物がいるのか探してしまいます。

ご存知の方も多いとは思いますが、海響館の目の前には関門海峡と唐戸港があります。
そこには、草原で四季折々の花が咲くように、四季折々のクラゲが漂っています。
春には触手が長いアカクラゲ、夏には白くて丸いミズクラゲ…
しかしこれらは野球ボールや掌くらいの大きさがある、クラゲの仲間でも数少ない比較的大きなクラゲ達です。
今回紹介するのは、こちらの瓶に入っているクラゲ達です。

一見するとゴミが浮いて、クラゲは入っていないように見えますが、ちゃんとこの“箱”の中にもドキドキとワクワクは詰まっています。

この瓶に入っているクラゲ達は、目の細かい網で沢山の海水を濾し取り集めています。
その後瓶は水族館に持ち帰り、スポイトと顕微鏡を使い、クラゲとそれ以外を分けるソーティング作業を行います。この仕分け作業が非常に大変です。そもそもとても小さなクラゲ、中には1mmにも満たないものも入っています。一度に瓶内の水すべてから探すのは困難なので、数十mlずつに分けてコツコツ探していきます。分けられたそれ以外の中にも面白いものが含まれてはいるのですが、それはまた別の機会に。

そんな地味な作業を行い、宝箱から出てきたのは、こんなクラゲ達!

まずは1cmに満たない小型のクラゲの中では1番知名度があるかもしれません。不老不死として有名になったニホンベニクラゲです。実際は若返りができるのですが、人為的にそれを行わせるのはなかなか困難です。

次に紹介するのは、ミサキコモチエダクダクラゲ。非常に名前が長く分かりにくいかもしれませんが、ミサキ-コモチ-エダクダ-クラゲと切れば読みやすいと思います。コモチ(子持ち)とあるように、このクラゲは無性生殖でクローンを作って子供を増やせる種類のクラゲです。またエダクダ(枝管)は体内に枝分かれした管があることから名付けられています。

最後に紹介するのは、オベリア属の一種です。この写真の個体は大きさなんと0.4mm!一種と表現したのには理由があり、現在日本では数種類のオベリア属のクラゲが確認されていますが、外見での判断は困難な種類だからなのです。この種のように外観がそっくりなクラゲも世界中にたくさんおり、有名なミズクラゲでも近年種の細分化がされていたりします。

今回紹介した以外にも小型のクラゲはたくさん採集できています。一見何も居なさそうな海にも、実はこんな小さなクラゲ達が暮らしているんですね。
近年のクラゲブームも相まって、小型クラゲの新種がどんどん見つかっています。あなたが海で水を掬ったら、もしかしたらその中に物凄いプレゼントが入っているかもしれませんよ!

魚類展示課 飯島卓也

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