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「世界初!ストライプドバーフィッシュの繁殖」

海響館はたくさんのフグの仲間を展示しています。その中には海外からやってきた種もいます。「ストライプドバーフィッシュ」はカリブ海からブラジルにかけての温かい海に生息するハリセンボンの仲間なのですが、何と、今回世界で初めて水槽内での繁殖に成功したので、そのお話をしたいと思います!

水槽で元気よく過ごしていたストライプドバーフィッシュが突然エサを食べなくなって心配していたのが始まりでした。翌朝、気になって水槽を見に行くと、水中にたくさんの卵が舞っていました!念願の卵です。ただ、今まで何度か産卵自体はあったのですが、受精していないことがほとんどでした。今回はどうだろうとドキドキしながら顕微鏡を覗きました。すると…

受精してるッ!してるぞォォォ!とつい顕微鏡前で叫んでしまいました。とても嬉しい瞬間でした。卵の中に、まさに魚の形に成長する前の、発生初期の姿を見ることができたのです。

ただ、これからが大変です。まずは、舞っている卵を集めてバックヤードの水槽に移動させます。他のハリセンボン科の繁殖事例から、ふ化するまでに72時間かかることが予測できたので、その間に、バックヤードの水槽の準備、ふ化した仔魚にあげる小さなエサの準備、水替えや掃除道具の準備、毎日の観察日記など、色々と育てる準備を整えていきます。

ふ化したばかりの小さな仔魚には、シオミズツボワムシとアルテミアという、とても小さな生きたエサを与えました。アルテミアを食べると仔魚はお腹がオレンジ色になります。これが観察できるとエサを食べている証拠となるので、一安心です。
少しずつ大きくなってきた時に、興味深いことが1つありました。それは、成魚は縦縞模様ですが、稚魚は網目模様ということです。これは繁殖させて観察をしていかないとわからないことでした。成魚と稚魚で模様や色が違う魚はたくさんいますが、ストライプドバーフィッシュも同様だったのです。成長するにつれて徐々に模様が変化し、全長5cmを過ぎたころに親と同じ縦縞模様になりました。

そして、いよいよ展示することとなりました!卵から育てた経緯をパネルで展示することで、ストライプドバーフィッシュの繁殖情報を発信し、お客様に知っていただくことができました(※現在は親魚のみ展示しております)。
担当者としては、かわいいわが子同然のストライプドバーフィッシュ達を見てほしい!という思いもありました。

生きていく中で繁殖はとても重大な出来事です。魚が水槽の中で繁殖したということは、健康に飼育することができ、この水槽なら卵を産んでも大丈夫と感じてくれたのだと思っています。これからも、魚たちの健康を維持し、新たな種の繁殖に挑戦していきたいと思います!!

魚類展示課 玉井健太

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