厳しかった残暑が和らいで、季節は秋らしくなってきました。そんな中、温帯ゾーンで暮らすフンボルトペンギンたちは繁殖シーズンを迎えていて、あちこちで求愛や穴掘り、巣材運びといった繁殖行動が見られるようになりました。今回は、そのうちの巣材運びについて紹介をします。

　フンボルトペンギンは繁殖シーズンを迎えると、自分の巣の中に植物や小石をくちばしで咥えて集め始めます。ペンギンたちが植物を咥えていると「ペンギンって草を食べるの？」という声が聞こえてくることがあるですが、食べるためではなく、巣の中に敷いて、卵を温めやすくするために集めているのです。この巣材運びは、オスのペンギンによく見られる行動で、落ちているものを拾ったり、生えている草をくちばしでちぎったり、時には他のペンギンの巣から勝手に持っていったりと集め方も様々です。地道に巣材運びをする姿は頻繁に見ることができ、野生のペンギンの姿を感じる一コマです。

（by 小西）