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ふぐ処理師

 トラフグをはじめとするフグ科魚類が有毒であることは、皆さんもよくご存じだと思います。そのため、ふぐの処理については資格が必要です。今回はこの資格の話をしましょう。

 ふぐを処理する資格は、現在は全国で統一の資格ではなく、都道府県ごとに異なっています。例えば山口県は「ふぐ処理師」、東京都は「ふぐ調理師」と呼び方も違います。
 これまで都道府県ごとに違う基準で資格を与えていたため、都道府県間においてふぐ処理者の資格の受入れが進んでいないことや、食品としてのふぐの輸出にあたって、輸出先国や地域の理解が得られない場合があるなどの問題がありました。これらを踏まえて、ふぐ処理者の知識及び技術の水準の全国的な平準化することを目的として、ふぐ処理者認定基準について、令和元年に厚生労働省から各都道府県条例等の見直しを求める通知がありました。それを踏まえて令和4年8月5日付の調査では、多くの都道府県が見直し済み、それ以外でも見直し中(検討中)という結果だったようです。詳しくは、厚生労働省のHPをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000094363.html

 これまで、山口県ではふぐ処理師がいる現場で、3年の実務経験を経た者でないと、ふぐ処理師の受験資格がありませんでしたが、令和4年度より受験資格が廃止になり、だれでも受験することができるようになりました。かく言う私も、このふぐ処理師に前々から興味があり、令和4年度に受験することができました。
 ふぐ処理師の受験内容は大きく、①学科試験、②種鑑別、③臓器鑑別、④ふぐ処理の実技があります。①の学科試験では、衛生法規、食品衛生学、フグに関する知識について、②③は本物を見ての判別、④は解体、可食及び不可食部位の分類を行います。水族館職員として②③を間違えるわけにはいかないのですが、やはり緊張したのはふぐ処理の実技試験!フグの解剖は経験何度もありますが、それとはまるで勝手が違います。制限時間ギリギリまでかかって一通り終え、無事合格できました。

 しものせき水族館は世界一多くのフグ目魚類を展示している水族館です。そのフグ水族館の職員とはいえ、さすがにぶっつけ本番でふぐ処理師の試験を合格できたわけではありません。受験に向け、勉強したのはもちろんですが、多くのふぐ処理師の方にご指導いただきました。
 その中で強く感じたのは、山口県のふぐ処理師の方々の技術はもちろん、その意識の高さです。フグの本場、山口県のふぐ処理師として、どこに出しても恥ずかしくないような品質を常に意識され、その技術を実践されているのを目の前で見させていただきました。お話の中ではもちろん、処理されたものや、作業中の一挙手一投足すべてが、それを感じることができます。
 私はいまのところ食品関係の職に就く予定があるわけではありませんが、山口県のふぐ処理師に泥を塗ることがないよう、精進したいと思います。

魚類展示課 園山貴之

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