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第238回 ルナのロープジャンプ

 今回は、ルナ(2016年海響館生まれ)のロープジャンプのトレーニングについてご紹介します。実は、このロープジャンプはルナが生まれる6年前までショーの中で行っていました。大きく成長したルナは様々なパフォーマンスができるようになり、次の新しいものをと考え、プールの端と端に張ったロープの上を繰り返し飛び越える“ロープジャンプ”のトレーニングを始めることにしました。

 と言っても、いきなりロープの上をジャンプすることはしません。まずは、これまで見たことのないロープを怖がらないように慣れてもらうことが必要です。ルナのトレーニングを始める前は、きっと初めて見るロープに驚いたり、気にしたりして、トレーナーの元から離れてしまうだろうと予想していましたが、実際のトレーニングではルナはロープに気付いていないのかと疑問に思うほど、普段通りに落ち着いてトレーナーの元にいました。そこで、ロープに近付く、ロープの下を泳いで通過する、沈めたロープの上を通過するなど、次のステップへのどんどん進めていきました。どれも初めてとは思えないほど順調で、あっという間にロープの上を飛び越えるトレーニングを始めることになりました。

 「さすがにロープの上を飛び越えるのはとまどうだろうから、時間がかかるだろうな」と思っていたところ、その日数回トレーニングしたのみでロープの上をジャンプすることができたのです。私たちトレーナーは、新たなトレーニングを始める時には、先にパフォーマンスの完成形をイメージし、それに近付くための細かなステップを予め考えてから、トレーニングに入ります。そして、動物がどこまでどのように理解しているのかをしっかりと観察しながら、大きなステップに変えたり別のステップに変えたりと臨機応変にトレーニングを進めていきます。今回のルナは想定していたステップを何段もとばして進歩したので、この結果に担当の私が一番驚いています。

 しかし、まだロープジャンプが完成したわけではありません。ルナがジャンプできるのはまだ1回。ロープジャンプの完成形は、繰り返し複数回ジャンプすることです。今後も、ルナが何を考えているのか、そして私がルナにどうして欲しいのかを、しっかりとコミュニケーションをとって楽しくトレーニングを進めていきます。是非、ルナの今後の成長を楽しみにしていてくださいね。

海獣展示課

河村 景子

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