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第200回「意外と知らない?トレーナーの1日」

 私たちトレーナーは、動物たちが毎日楽しく健康に生活ができるようにさまざまなことに気を配っています。今回は日々どんなことをしているのか、あるトレーナーの1日に密着して紹介していきます。密着したのは、食べることと泳ぐことが大好きなトレーナー、通称「タッシー」です。

 タッシーの1日は掃除から始まります。動物たちが生活する場所を清潔に保つため、隅々まで念入りに掃除を行います。さらにお客様から動物たちの姿がよく見えるようにアクリルガラスもきれいにします。

 掃除が終わったらまずは動物たちの健康チェックを行います。アザラシ、スナメリ、アシカ、イルカ全個体に給餌をして、食欲はあるか、ケガはしていないか、顔つきや動きに問題がないかなどをチェックしていきます。また、定期的に体重測定を行いエサの量を調整したり、写真のように体温測定や採血を行い、見た目ではわからない体の中の健康状態もチェックしたりしています。

 動物たちの健康チェックができたら、いよいよイルカとアシカの共演ショー「アクアシアター」が始まります。お客様に楽しんでもらい、動物の能力や魅力が伝わるようなアクアシアターにするには、まずトレーナーとイルカの息を合わせることが大切です。トレーナーが単純に合図(キュー)さえ出せば、イルカが指示通りに動いてくれると思われるかもしれませんが、実はコミュニケーションがしっかり取れていないと合図には反応してくれません。この日のタッシーとイルカの息はピッタリ!お客さんの反応も上々、楽しんでもらえたはず!

 続いては、血液の検査作業です。採取した血液を獣医さんが検査できるように染色したり、機械で分析をしたりします。体内に細菌やウイルスが侵入したり、どこかで炎症が起きたりしていると健康状態を示す数値が悪くなるので、定期的な採血と血液検査を行うことで、病気の予防や早期治療に役立ちます。

 さて、この辺でタッシーの一番好きな時間、お昼ごはんです。午後からもしっかり動けるように手作りのお弁当でエネルギーを補充します。幸せそうな顔で食べていますね。

 エネルギーチャージが済んだら、続いてはアシカのトレーニングを行うようです。トレーニングで体を動かしたり、頭を働かせたりすることは動物たちにとって良い刺激となるため、健康管理の一つとしても位置付けています。トレーナーと接する時間が楽しくなるように、どんな方法でトレーニングを行うか動物の様子を見ながら状況に応じて方法を変えたりします。

 続いては、動物たちの薬の準備です。イルカやアシカなどのエサは、冷凍された魚を解凍して使用しています。冷凍された魚は寄生虫感染の心配はありませんが、ビタミン類などが減少してしまうため、総合ビタミン剤を魚と一緒にあげています。個体によってエサの量が異なるため、総合ビタミン剤の量も変わります。適切な量をあげられるように、薬は個体ごとのケースに分けて準備しています。タッシーも間違えないように量を確認しながら準備をしてくれています。

 タッシーの1日、最後は動物たちの日誌を書きます。食欲や行動に異常が無かったかなどを記入します。海響館ではタッシー含め10名のトレーナーで動物たちを見ているので、日誌をみて動物たちの情報を共有できるようにしています。

 皆さん、トレーナーが1日のなかでどんなことをしているのか少し知っていただけましたか?ただ、本当は他にも書ききれないほどたくさんの作業やトレーニングもしているんです。私たちトレーナーは動物たちがより健康に、もっと楽しく過ごせるようにこれからも取り組んでいきます。

海獣展示課

牧江 智世

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