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第188回 「トレーナーのトレーニング」

 トレーナーである私たちは、毎日動物と接しながらショーで行うパフォーマンスのトレーニングや、検温、採血など動物の健康管理を目的としたトレーニングなどをしています。動物たちはトレーニングを通して身体を動かしたり頭を働かせたりしながら、私たちとの信頼関係を築いていき、それが彼らの健康管理にもつながるのです。そんな動物の飼育に欠かすことのできないトレーニングをトレーナーたちはどのように学んでいるのでしょうか。

 以前、イルカ・アシカ情報の150回 「トレーニング理論を学ぶということ」では、トレーニングは学問が基礎になっているという話をしました。基礎をしっかり学ぶことで自分がトレーニングしたいと思うことを頭の中で整理できるようになります。しかし、学問的な理論を学ぶだけでトレーニングができるようにはなりません。もう一つトレーニングで大切なのは実践です。直接動物と触れ合い、動物の状態をしっかり観察し、状況に応じて様々な方法を考えながらトレーニングをしなければうまくいきません。そこで、経験が浅い新人トレーナーは、先輩と一緒にトレーニングをして方法や考え方、動物の観察力などを学んでいきます。また、人それぞれ性格が違うように、動物たちも好奇心旺盛だったり、おっとりしていたりと1頭ずつ性格が違うので、トレーニングも同じ方法というわけにはいきません。これも、実際に動物と接し、トレーニングしなければわからないことです。そのため、新人トレーナーには技術のことだけではなく、動物の性格やその時の状態をしっかり見極めて、適した方法を考えながらトレーニングできるようにも伝えていくようにしています。実は、先輩トレーナーも新人トレーナーと一緒にトレーニングし、たくさんのことを伝えることが、自分の頭を整理したり、新たに勉強をしたりする良い機会となっているのです。

 最後に、私たちトレーナーが動物をトレーニングする上で最も大切にしていることがあります。それは、トレーニングが動物にとって良い刺激であり楽しい時間となるようにすることです。そのために、トレーナー全員で考えや情報を共有し、取り組んでいるのです。

海獣展示課

鍬崎 賢三

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