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第185回 子イルカの舌の秘密

 皆さん、イルカの授乳シーンを見たことはありますか?一生を水中で生活するイルカは、授乳も水中で行うのです。私たち人間からは想像しづらいですね。

 イルカの乳首がどこにあるかというと、お腹の下の方、生殖孔と呼ばれる切れ込みの左右にある小さな切れ込み(乳溝などと呼びます)の中にあります。

※生殖孔:赤ちゃんが産まれてくるところ

 

 子イルカがお乳を飲む時には切れ込みから乳首が出てきて、その乳首に吸いつくと母乳が口の中に注ぎ込まれるのです。そのため1回に乳首に吸いつく時間はとても短く、5~10秒程度です(誕生から間もない時期、海響館の実績より)。そこで疑問に思うのは「水中でどうやって母乳を飲んでいるのだろう?」という点です。実は海水を飲まずに母乳だけをうまく飲むことができるのには子イルカの舌に秘密があります。子イルカの舌には葉状突起というヒダがあり、その舌を丸めて乳首に吸いついた時に密着することで、海水が入ることなく母乳だけを飲むことができるのです。そして、この葉状突起は子イルカが成長し授乳の必要がなくなると、徐々に無くなっていきます。バンドウイルカの授乳期間は約1年~2年なので、昨年の春に生まれたバンドウイルカのルナとポートはもうすぐ授乳期間が終わるころですが、今はまだ2頭の舌には葉状突起が残っています。イルカたちが皆さんの近くで口を開けることがあれば、舌にも注目してみて下さい。近くに来たイルカがルナやポートであれば葉状突起を見ることができるかもしれません。

 

 また、もうしばらくの間は写真のように水中で授乳しているシーンも見ることが出来るかもしれないので、ゆっくり観察してみて下さい(イルカたちが餌を食べた後に授乳することが多いようです)

海獣展示課

田代 真菜

 

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