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カクレクマノミの繁殖に挑戦!

 

 みなさんはクマノミの仲間を何種類知っていますか?日本には、クマノミ、カクレクマノミ、ハマクマノミ、トウアカクマノミ、ハナビラクマノミ、セジロクマノミの6種がすんでいます。そして、クマノミの仲間は性別が変わるという特徴を持っています。群れの中で1番大きい個体がメスに、2番目に大きい個体がオスに性転換し、その他は繁殖能力をまだ持っていない未成熟個体です。生まれたときに性別が決まっていないなんて、面白いですよね!今回は、私が挑戦しているカクレクマノミの繁殖についてご紹介します。

 

 

 2018年7月16日、展示していたカクレクマノミの中で大きな2個体を取り上げ、バックヤードでペアリングを試みました。ほんとにペアになって産卵してくれるのだろうか…と不安に思いながらも、毎日観察を続けていました。そして、2018年9月1日、メスが卵を丁寧に産み付けている姿を発見!「やったー!」と喜びながらじーっと見ていると、1時間ほどでメスは卵を産み終え、今度はオスが卵の世話をし始めました。胸ビレや口を使って卵に新鮮な海水を送ります。

 

 

 産み付けられた卵は、日が経つにつれオレンジ色から黒色、そして銀色へと色が変わっていきます。種類と水温によっても異なりますが、ふ化まで8~10日程かかります。眼の眼胞が銀色になって、ギラギラと見え始めたら、いよいよふ化間近です!

 

 

 その色の変化等を見極め、ふ化が予想される日に一度水槽を真っ暗にしました。経験上、これがふ化を始めさせる刺激になるからです。すると、狙い通り1時間後にふ化が始まりました。ふ化した仔魚の大きさは約3mm。まだ、ヒレも未完成で、カクレクマノミとは分からない姿の仔魚を、なるべく刺激を与えないように水ごと掬い取り、親とは別の場所で育てます。

 

 

 最初は、シオミズツボワムシという植物プランクトンを与えます。生まれたばかりの仔魚はあまり目が見えていないため、水槽内にたくさんエサを入れておきます。そして、1週間ほどでアルテミアという動物プランクトンも食べられるようになります。その後は仔稚魚の口の大きさに合わせてエサを選び、3か月も経つと写真のようにカクレクマノミらしい姿になってきました!私が顔を見せるとエサをくれると分かるのか、口をパクパクさせて寄ってきます。その姿の可愛らしいこと。

 

 

 実を言うと、まだ5個体しか稚魚になるまで育てられていません。ふ化した仔魚はとてもデリケートで、少しのストレスでも死んでしまいます。なかなかうまくいかないことも多く、試行錯誤の毎日ですが、今後はより多くのカクレクマノミの稚魚を育てることができるように取り組んでいきたいと思います。

 

※仔魚(しぎょ)…卵からふ化した直後からヒレが完成する(ヒレの鰭条数が揃う)までの段階。

 稚魚…ヒレが完成した段階。繁殖能力は無い。

 

魚類展示課 下村菜月

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