令和6年3月12日、スナメリの「あいす」をブリーディングローンとして福岡県のマリンワールド海の中道に移動しました。ブリーディングローンとは繁殖を目的とした貸し借りのことで、水族館や動物園では多くの施設がブリーディングローンによって繁殖を推進しています。そして、このような仕組みのもとで施設間が協力することにより、新たな血統の導入や種の保存、展示動物の維持などに取り組んでいるのです。

　あいすが誕生したのは平成27（2015）年5月23日。海響館では初めて誕生したスナメリということで、私たちスタッフにとってはとても思い入れの強い個体です。そんなあいすもまもなく9歳になります。スナメリの9歳というとすでに繁殖が可能な年齢で、何とか繁殖に関わらせてあげたいと思っていたところ、マリンワールド海の中道さんが繁殖を進めるために受け入れたいと言ってくれました。もしも、あいすが父親になってくれるのであればこんなにうれしいことはありませんので、私たちからもお願いし、今回の移動となりました。

　あいすにとっては全く新しい生活環境となるので心配も少しありましたが、マリンワールド海の中道のプールに収容してからはすぐに同居するスナメリと並んで泳ぐなど、順調なスタートを切っています。これからあいすは、「ミク」という同い年のメスと繁殖を目指します。あいすとミクが良好な関係を築き、子どもが誕生する日を楽しみにしています。

海獣展示課

高木　陽友美