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繋ぐ
水族館の役割の一つに「調査・研究」があり、私たちトレーナーは日々行っている動物の飼育やトレーニングから得た情報をまとめ、学会や研究会などで発表し、そして国内全体の飼育動物に役立てています。私は11月に名古屋市で開催された一般社団法人日本水族館協会主催のトレーニングセミナーで初めて発表する機会をもらいました。
トレーニングセミナーとは、トレーナー間のトレーニングに関する知見の共有、および技術の発展に貢献することを目的として毎年開催されているもので、私はアシカの健康管理に関する発表を行いました。発表するにあたり今までのトレーニング記録をまとめる作業を行ったのですが、これがなかなか大変。毎日書き留めていた記録をおよそ4ヶ月分見返しながら必要な情報を拾い出し、それを整理していく作業です。発表する時には当たり前の作業なのですが、自分にとっては初めてだったので「格闘」という感じでした。しかし、まとめるという作業を通じて、記録しておくことの重要性を改めて認識したのはもちろん、細かく内容を書き留めておいたことで、その時行った自分のトレーニングの方法とそれに対して動物がどのような行動をしたのかを細かく思い返すことができ、記録は後々役立つものであるべきなんだとこれからの向き合い方も変わる良い機会となりました。
日々の出来事を記録している日誌
そして、とても大変ではありましたが、発表をしたことで他の水族館の方から評価の声とともに多くの質問や助言をいただき、得られるものはがとても大きかったことから、「発表することが大事なんだよ」と先輩から言われている言葉がよくわかりました。
今回のトレーニングセミナーは動物福祉に関する講演やセイウチの認知学に基づいた発表など多岐にわたり、どの施設も目の前の動物たちがどうすればもっと快適に暮らすことができるのか、健康に楽しく過ごせるのかを常に考えていると感じるものでした。
初めての発表から学んだこと、それは視野を広げ、自分の今の立ち位置を知り、これから何をすべきかを知ることができるということです。この学びをチーム内に共有し、今後の海響館、ひいては国内の動物たちのより良い生活へと繋げていけたらと思います。
海獣展示課
髙橋紘香