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「虫歯じゃないんです!」

 第183回「イルカの歯に注目!」ではイルカの歯についてご紹介しました。今回はアシカの歯に注目します!早速アシカと同じ鰭脚類の仲間であるアザラシと見比べてみましょう。

 アシカもアザラシも、鋭い歯がたくさん生えています。この歯は魚を噛むために使っているわけではなく、泳いでいる魚をしっかりと捕らえるために使っています。そして捕まえた魚は基本的にそのまま丸呑みにしているんです。ところで皆さん、この写真を見て何か気が付きませんか?

 それぞれの歯の色にご注目。アザラシは私たちと同じように白い歯をしているのに対し、アシカの歯は黒い色をしています。黒い歯というと虫歯!?と心配になるかもしれませんが、虫歯ではないのでご安心を。実はこの写真の個体だけでなく、ほとんどのアシカの歯はこんなふうに黒い色をしているんです(野生のアシカと飼育しているアシカには違いがあるようですが…)。アシカも生まれた時は白い歯をしていて、年齢を重ねるとともに徐々に黒くなっていきます。その原因として、黒色色素産生菌という黒い色素を産生する細菌が関係しているのではないかという話もあるようなのですが、残念ながら詳しいことはまだ分かっていません。

 アシカたちの口の中をよく見てみると…

 歯の白い部分が見えている個体がいました!ぱっと見た感じでは、なんだか汚いイメージを持つかもしれませんが、歯自体が悪くなっているのではないということがわかります。現在行われているイルカとアシカの共演ショーや日中行っているトレーニングでアシカが近くに来た時には、是非口の中にも注目してみてください。

 そして歯だけでなく歯茎や舌、ヨダレも黒くなることがあります。朝、アシカたちが寝ていたところを見てみると、床にこのような黒いシミが出来ていることがあります。同じ鰭脚類であるアザラシのヨダレは黒くないので、このようになることはありません。もしかするとアシカの歯が黒くなることに関係しているのかも・・・と、興味を持っているところです。

 アシカといえば色々な水族館で見る事が出来る比較的身近な生き物ですが、今回のように分かっていないこともまだまだたくさんあるんです。動物たちをじっくり観察していたら、何か新しい発見があるかもしれませんね!

海獣展示課

西村 梨佳

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