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動物たちの新しい魅力

 カリフォルニアアシカの「なでしこ」は口の中に水を溜めてその水を飛ばす「水吹き」がとっても上手。トレーニングが終わった後も得意そうにプールの水を使って水吹きを見せてくれることが度々あります。もともと、なでしこが遊びで水をとばしていたのをトレーナーが見かけて、トレーニングした結果綺麗に水をとばせるようになったものですが一つ疑問が浮かびました。カリフォルニアアシカが口から水を吹くという話を聞いたことがなく、「なでしこがたまたまできたのか?」ということ。そこで、別のアシカ「デイニー」でトレーニングをしてみました。

 これまで、デイニーが遊びで水を吹いているところは見たことがなかったので、まずは水に対してどんな行動をするかを確かめるために、口元に水をかけてみました。すると口と鼻を閉じてじっと私の方を見つめるだけでした。そこで、まずは口を開けてから閉じるということを理解させ、次に開けた口の中にホースで水を入れてから閉じること、口を閉じた時に水が溢れること、そして最後に口から水が前に飛ぶことをトレーニングしました。その結果、なでしこほどではないものの、デイニーでも口から水を吹く行動ができるようになり、なでしこがたまたまできたものではないということがわかりました。

 アシカを含む鰭脚類のいくつかの種では口に水を吸い込むことでエサを捕獲する「吸引摂餌」が知られていて、もしかするとそれらの種では口から水を吹くこともするかもしれません。しかし、カリフォルニアアシカはエサを噛んで捕まえる「咬みつき摂餌」といわれています。なでしこもデイニーも口から水を吹くことができるのを見ると、「もしかすると野生のカリフォルニアアシカも何かに使っているのでは?」ととても興味が湧いてきました。

 動物たちにはまだまだ知らないことがあり、私たちトレーナーは彼らと過ごしていると毎日新しい発見があるのがとても楽しく思います。これからも動物をよく観察し、トレーニングや遊びの中で色々な発見をしていきたいと思っています。そして彼らの能力をもっともっと引き出し、より多くの魅力を皆さんに伝えていきますので、今後も是非楽しみにしていて下さい。

海獣展示課

郷間 春菜

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