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アフリカの淡水フグ

 フグの仲間は基本的には海にすんでいますが、世界には淡水域にすんでいるフグの仲間も知られています。日本ではクサフグやオキナワフグなどが淡水と海水が混じる汽水域で見ることができますが、世界では一生を淡水で過ごす種も多く知られています。今回はアフリカの淡水域にすんでいるフグを紹介しましょう。

 

 アフリカに分布している淡水フグは現在6種知られています。これらはもちろん日本には分布していないため、基本的に和名がありません。そのため、皆さんにはちょっと読みにくいかもしれませんが、海響館では世界共通の学名をカタカナ表記しています。頑張って読んでみてください(笑)。テトラオドンとは「4枚の歯」という意味で、その名の通り歯は4枚しかありません。

 

 

テトラオドンドゥボイシィ 学名:Tetraodon duboisi
コンゴ民主共和国の限られた水域にすんでいるフグで、詳しい生態などは不明です。大きさは全長10 cm程度まで大きくなるようです。一見するとテトラオドンショウテデニィに似ているように見えますが、ショウテデニィは小型で約5 cmまでしか大きくなりません。

 

 

テトラオドンリネアートゥス 学名:Tetraodon lineatus
比較的大型の淡水フグで、全長は40cmを超えることもあるようです。体色は黄色地に、暗赤色の線が複数あり、学名のlineatusは線状のという意味があります。アフリカの広範囲に分布しているようです。

 

 

テトラオドンムブ 学名:Tetraodon mbu
世界最大の淡水フグとも言われており、全長は60 cmを超えます。体色は黄色と黒の線が虫食い模様のように入り、日本に分布しているムシフグにも似ていますね。大型個体では尾ビレが長く優雅に見えます。

 

 

テトラオドンミウルス 学名:Tetraodon miurus
砂の中に隠れていることが多く、頭上に獲物が来ると上向きの口を使って素早く捕食します。体色は基本的には一様ですが、褐色から赤レンガ色のような個体まで個体差が大きくあります。

 

 

テトラオドンパストゥレイタス 学名:Tetraodon pustulatus
ナイジェリアとカメルーンにあるクロス川に分布しています。そのためクロスリバーパファーと呼んだりもします。分布域が限られており、情報の少ない種です。テトラオドンリネアートゥスの体色が線状なのに対し、パストゥレイタスは斑点状になっていることで区別することができます。

 

 

テトラオドンショウテデニィ 学名:Tetraodon schoutedeni
アフリカ産淡水フグの中では最小のフグで、成魚でも10 cmに達しません。コンゴ川中流のマレボ湖などに分布しているようです。海にすんでいるフグの仲間もそうですが、フグは基本的には闘争することが多いのですが、ショウテデニィは複数個体を水槽内で同居させても闘争することは少ないようです。

 

 現在海響館ではテトラオドンパストゥレイタス以外の5種を展示しています。これだけのアフリカ産淡水フグを一度に見ることができるのは、世界でも海響館だけではないでしょうか。同じアフリカに分布する淡水フグとは言っても、種によりそれぞれの個性があります。その多様性の高さを是非海響館でご覧になってください。

 

※展示種数は2020年11月現在の種数です。展示種は生物の状況により変更する場合があります。ご了承ください。

 

魚類展示課 園山貴之

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