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第169回 「出産場所の準備」

現在海響館のイルカプールではバンドウイルカ「ラナ」と「アルカ」の赤ちゃんが元気に暮らしています。
今回の出産を迎えるにあたっては、お母さんが安心して出産・育児ができるように環境を整えるとともに、赤ちゃんにとっての安全の確保に神経を使い、何カ月も前から様々な準備をしてきました。
出産の場所は、普段ショーが行われているプールで、一見するときれいな楕円形で何も問題となるようなところがないように見えます。ところが、大人のイルカにとっては問題がないこのプールも、体が小さくて泳ぎもままならない赤ちゃんにとっては、危険となる箇所がいくつかあるのです。例えば、プールの壁面にあるスタッフが昇り降りするためのはしごがあるのですが、そこはくぼみになっているため、赤ちゃんが顔を突っ込んでしまうと大変です。また、循環しているプールの水が流れ込むところが水面にあり、赤ちゃんの体の大きさなら入ってしまう危険があります。それらの箇所には板や網を取り付けて赤ちゃんがはまってしまわないようにしました。
その他には、プールにある浅瀬への柵の設置です。赤ちゃんが意図せずに浅瀬に入った場合、パニックになって体をうまくコントロールできない場合は溺れてしまうことも考えられます。それを防ぐために事前に柵を設置します。この場合、「まあ大丈夫だろう」という気持ちが危険なのです。
さらにもう一つ紹介しましょう。
赤ちゃんイルカは、生まれてすぐに泳ぎ始めるのですが、もちろん最初からうまく泳げるわけではなく、ふらふらといろいろな方向に泳いでいきます。お母さんイルカがそんな赤ちゃんをサポートするのですが、うまくサポートできないこともあり赤ちゃんが壁に当たったりすることがあります。そんな時は、私たちスタッフがサポートします。そこで、出産時に陸上からでも赤ちゃんの泳ぎをサポートできるように特製の道具を用意しました。それは長い棒の先にやわらかい布(ウエットスーツの生地)を縫い付けた物で、赤ちゃんの体を傷つけないよう配慮してつくりました。実際の出産の場面でも、これが役に立ったのです。

今回のイルカの出産に向けては、スタッフ同士が話し合い、より良い方法を考えながら準備を進めてきました。1頭の出産には多くのスタッフが関わっており、みんなが赤ちゃんの元気な成長を願っています。そして、赤ちゃんが日々成長していく姿を皆さんにぜひご覧いただきたいと思っています。

 

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海獣展示課
鍬崎賢三

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