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第157回 「トレーニングは終わらない!」

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イルカとアシカの共演ショー「ディープアニマルⅡ」がスタートして早1ヶ月が過ぎましたが、皆さんはもうご覧になりましたか?今回のショーの見どころの1つは、“イルカが出すサインを見てアシカがパフォーマンスを行う”というものです。このパフォーマンスは海響館はもちろんのこと、おそらく日本初の試みです。今回私たちは、アシカがトレーナーではなく“イルカの行動を見て、それをサインだと認識して行動すること”を新たなトレーニングとして導入しました(イルカ・アシカ情報第154回「もうすぐスタート」参照)。そして、3月21日のディープアニマルⅡスタートに向けて、約半年間このパフォーマンスのトレーニングを行い、ようやく皆さんにご覧いただけるところまでもってくることができました。
しかし、最近困ったことがあります。それは…、“イルカがアシカの目の前に顔を出し胸ビレを振ると、それを見てアシカが倒立する”というパフォーマンスがあるのですが、イルカが顔を出しただけ(胸ビレを振る前)でアシカが倒立をしてしまうのです。これは“イルカが胸ビレを振る”という小さな動きよりも“イルカが目の前に顔を出す”という大きな動きの方が目立つ(わかりやすい)ため、アシカにとっての倒立のサインが“イルカが目の前に顔を出す”というものに変わってしまったのだと思います。そこで私たちは、アシカがイルカの細かい動きまでしっかり識別して、どの動きがサインなのかを理解させるためのトレーニングを行うことにしました。例えば、イルカがアシカの目の前に来ても倒立せずにイルカをじっと見るだけという行動を褒めるようにしました。イルカが“胸ビレを振る”まで待てるようにするためです。さらに、イルカが目の前にやってきた後に行う行動をアシカがよく見るように、イルカからアシカに出すサインを増やしました。これは、アシカに“イルカが目の前に顔を出す”という行動よりも、“その後にする行動”に注目させるためです。このように、私たちは常に動物たちの細かい行動に注意を払いトレーニングを行っています。
少し難しくなってしまいましたが、今回の新プログラムの難しさと動物たちのすばらしさを少しでも知って頂けると幸いです。動物たちとトレーナーにとって、思い通りにいかない時こそ更に色んなことに挑戦するチャンスです。

海獣展示課
竹内 祥子

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