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第152回 「イルカを運ぶ」

平成22年4月から「ブリーディングローン(繁殖を目的とした貸し出し)」のため高知県の桂浜水族館に行っていたオスのバンドウイルカ「ダン」が、契約満了に伴い海響館に戻ってきました。
では、どうやってダンが下関まで戻ってきたのでしょうか?実は、スタッフが同行し桂浜水族館から海響館まで陸路で輸送を行ったんです。その距離約500km、時間にして8時間。水中で生活しているイルカの輸送はとても大変です。体が乾かないように常に水をかけたり、呼吸の状態や体の動きなど細かく観察します。今回は、イルカを安全で且つできる限りストレスがかからないように輸送するために使用した道具や機器を紹介します。
まずはイルカを乗せる担架です。輸送の間、ダンをこの特製の担架に乗せて運びました。この担架はキャンバス地でできており、長時間の輸送で担架に擦れて体に傷ができないよう内側には毛布を縫い付けました。触り心地は抜群です。担架に並んで空いている2つの穴は胸ビレを入れるための穴で、圧迫されないよう工夫しています。

 

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続いてはコンテナです。コンテナとは、担架に乗せたイルカを収容するもので、内側には防水シートを張り水が貯められるようになっています。

 

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そして、イルカの体の腹側3分の2ほど水に浸かった状態にします。イルカは陸上では自分の体重によって体に負荷がかかるので、水を入れることで浮力によって体への負荷を減らすと同時に、皮膚が空気にふれる部分を減らし、体温上昇を防ぐのです。ちなみにダンの体の大きさは体長約3m、体重約300㎏。海響館にはダンを入れられるほどの大きなコンテナがないので、バンドウイルカよりも大きなシロイルカを飼育されているしまね海洋館アクアスからお借りしました。コンテナの長さは約4m、並んでいるスタッフと比べるとどれくらい大きいかわかってもらえるでしょうか。

 

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さらに、担架に乗せたダンをコンテナに収容したり、プールまで吊り上げるためのクレーンや、コンテナをトラックの荷台に積み降ろしするためのフォークリフトなど重機も必要になります。ゆっくりと慎重に操作してもらうこともとても大切で、作業に慣れた方にお願いしています。
他にもコンテナの水を排水するためのポンプや補給水のためのポリタンク、ホース、ロープ、スプレーなどたくさんの道具を準備します。そして、不足しているものはないか何度も確認をし備えるのです。ダンを安全に輸送するため、さまざまなものを準備し、手順などの打ち合わせも入念に行い万全の準備を整えていたお陰で、ダンの輸送は問題なくスムーズに行うことができました。海響館のプールで元気いっぱいのダンに皆さん是非会いに来て下さい。

 

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海獣展示課
牧江智世

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