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夏だ!海だ!自由研究だ!~ウィンクするフグの秘密~

 皆さんは、魚が眼をつむるイメージ、ありますか?私はありませんでした。それもそのはず、多くの魚にはまぶたがなく、私たちのように眼をつむることはありません。しかし!お魚探検隊歴3年の私、海響館で、眼をつむる魚を見つけました。それが、フグ(1)!

 どうでしょう、見事なウィンク!この行動、実は古くから知られているのですが、どんなときに、どうやって眼をつむるのかなど、あまり知られていないことがわかりました。そこで今回はフグがどんなとき、どうやって眼をつむるかについて自由研究してみました。

★方法★
①どんなときに眼をつむる?
どんなときにフグが目をつむっているかを仕事の合間にチェック!しかし、駆け出し飼育員の眼だけでは情報が足りません。そこで、フグ類の展示種数が日本随一の海響館で働かれてきた飼育員の先輩方にもアンケートをとり、聞いてみました。
②どうやって眼をつむる?
フグが眼をつむるとき、眼の周りの皮膚はどのように動いているか、海響館で飼育しているコモンフグが眼をつむる様子をビデオカメラで撮影して確かめました。

★結果★
①どんな時に眼をつむる?
私の観察とアンケートの結果、海響館のフグたちは、眼のまわりの皮膚に寄生虫がついているとき、砂に潜っているとき、眼が壁にぶつかったときなどに眼をつむっていることがわかりました。私たちの瞬きのように、定期的に眼をつむることはないのですが、おそらく眼を守るためにつむっているのでしょう。

② どうやって眼をつむる??
フグが眼をつむるとき、眼のまわりのひふはどうやって動いているのか?これを調べるため、ビデオカメラを使って動画をとってみました。動画から、眼の開閉時、眼の「幅」と「高さ」(2)がどう変化しているかを調べてみました。すると、幅、高さともに、目を閉じるときに減少してから、眼を開くときもとに戻っています(3)。このことから、眼の周りの皮膚は、眼の真ん中に向かって巾着をしぼるように閉じ、また元に戻っているということがわかりました。

★考えられること★

●私たちの瞬きとは違うの??
私たちは眼をつむる目的は、主に乾燥や異物から眼を守るためだと言われています。一方、水中で生活するフグたちは眼を乾燥から守る必要はなく、結果①から、眼を守るためだけに眼をつむっていると考えられます。つまり、眼をつむる目的が、陸上で生活する私たちとは異なると考えられます。また結果②から、フグたちは眼の周りの皮膚を巾着をしぼるように集めて眼を閉じます。一方、私たち人間は、上下のまぶたを閉じることで、眼をつむりますね(4)。このように、私たちの瞬きとは仕組みも違っていることが分かります。

●他の魚は眼を閉じないの??
調べてみた結果・・・フグ以外の魚で、結果②のように、皮膚で眼を覆って閉じるものは今のところ見つかっていないことがわかりました。ただし、頭の上についている眼を引っ込めるトビハゼ、エイ類、カレイ類、瞬膜という特殊なまぶたで眼を覆う一部のサメ類など、眼を守る行動をするものは知られています。しかし、皮膚を使って眼を覆う行動をとるのはフグの仲間だけのようです。

このようにフグたちは、人間とも違う、ほかの魚とも違う、特徴的なウィンクをする生き物だったのです!では、フグの仲間で眼を閉じるものはどれくらいいるの?なんでフグだけが魚の中で眼を閉じられるの??この先は、次回のお楽しみ!生き物いっぱいの海響館はフシギの宝庫!皆さんもこれからの夏休み、海響館で自由研究のネタを探してみてはいかがでしょうか。

魚類展示課 荻本啓介

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