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下関にもすむ希少生物、カスミサンショウウオ

皆さんこんにちは!お魚探検隊員の柿野です。今回は5月28日現在3階の『木屋川の小さな生き物水槽』にて展示しているカスミサンショウウオについてご紹介します。カスミサンショウウオは本州の近畿地方~四国や九州の一部に生息しているサンショウウオの仲間で、大きさは約12㎝くらいまで成長します。サンショウウオの仲間は同じ両生類のイモリの仲間とよく似ています。イモリの仲間は変態してから陸に上がりますが、成体になると1年を通して水中で生活することが多いのに対し、オオサンショウウオを除く日本にすむサンショウウオの仲間は成体になると、繁殖期以外は水中で生活することはほとんどありません。

 
 さて、この下関にもすむカスミサンショウウオですが、繁殖期以外はどんなところで生活しているかというと、山林のジメジメとした湿気のあるところで小さな虫などを食べているようです。体の色が派手ではないことや、トカゲのように素早く走ったりしないので、自然で見つけるのは難しいかもしれません。ではどうしたらカスミサンショウウオに出会えるのでしょうか?それは繁殖期に探すのが1番出会える可能性が高いです。カスミサンショウウオの産卵は下関では真冬の12月~2月頃に見られ、山林に近い小さな池、畑や田んぼなどにできた浅い水たまりや溝などに産卵します。雨の日の夜から朝にかけ水辺に集まってきて、メスが産卵を行うと、その近くにいるオスたちは一斉に放精をし、授精します。そしてあたりが明るくなる前にまた元の山林へと帰っていきます。ちなみにイモリの仲間は体内受精を行い、メスが受精卵を産むという違いもあります。
 サンショウウオの卵は卵塊と呼ばれ、いくつもの卵が透明なゼリー状の膜に包まれており、種類によってその形は様々です。カスミサンショウウオは分布域が広く、地域によって差がありますが、コイル状になっているのが一般的です。すんでいる場所にもよりますが、下関ではヤマアカガエルも同じ時期に同じような場所で産卵が見られるので、卵塊の形の違いも覚えておきましょう。

 私が観察に行った際には、卵塊の下などにカスミサンショウウオ、ヤマアカガエルともに親と思われる個体も見かけました。産卵で体力を消耗しすぎて、回復するまで卵塊の下で隠れていたのかもしれません。彼らの産卵は時に命がけです。ヤマアカガエルなどはオスがメスを前足で強く抱きしめるのですが、そのせいでメスが水中で呼吸ができず、死んでしまうこともあるようです。神秘的な産卵の瞬間、夜間ではありますが是非興味があれば見に行ってみませんか?また、昼間でも産んだ卵塊の観察はできますし、時期が経つと、元気に泳ぐ幼生も見ることができます。 下関に残された貴重な生物たちですので、くれぐれも生き物の邪魔にならないようにマナーを守り、観察をしてみましょう。

魚類展示課 柿野敦志

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