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謎のゼリーは本当にゴカイの卵!?

katamari

 海響館の藻場水槽の海藻や岩の上に、ある日突然現れる、夏の和菓子のようなこのゼリー状のもの、これはいったい何だろう?海藻や岩の上にあるのでウミウシ(ナメクジのような姿をした貝の仲間)の卵なのかな?なんて思いながら10年くらい前に気になって調べてみたのを覚えています。調べてみると、なんとゴカイ仲間(釣り餌で使うミミズのような生き物)の卵らしいことが分かりました。どうやって産むのか?本当にゴカイがこんなところに産むのか?いつか見てみたいと密かに思っていました。
6月の宿直の夜、その時がやってきました。見回りの時、藻場水槽を見るとアクリル面に長さ10cm程度の白いものが付着していました。

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 何だろう?と水槽の中を見ると・・・

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なんとゴカイが産卵中です!!
周りを見ると岩の上や海藻の上、いろいろな場所にゴカイが出てきて産卵を始めています。 ついにその正体を見ることができました。
しかし、水槽アクリル面についた白いものはいったい何だろうか?
しばらく観察していると、オレンジ色をした卵とは違う、白っぽい別の物を出しているゴカイがいました。

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そのゴカイが去った後には先ほど見たような白っぽい塊が残っていました。塊は徐々に流れだし、翌日にはすべてなくなっていました。多くのゴカイにはオスとメスがいるそうなので、おそらく放精をしていたのだろうと思います。
今回は22時頃に見ることができたのですが、この産卵は20時には見れず、24時でも見れませんでした。また、その後数日間観察したのですが、オレンジ色をした卵塊は増えることがなかったので、わずか数時間の間に集団で産卵していたのだと考えられます。受精の確率向上や外敵からのリスクを避けるため、まるでサンゴのような一斉産卵を行っていたのかもしれません。生きものの素晴らしい戦略を見た気がしました。

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※今回観察したゴカイの仲間はギホシイソメの仲間と考えられます。

海獣展示課 久志本鉄平

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