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ミステリーサークルの謎~ 準備中
平成27年7月4日から9月23日まで、特別企画展「奄美の海探検記 ~ミステリーサークルの謎~」を開催致します。まだ種名がついていないころから海響館が関わって来たアマミホシゾラフグについての解説を行います。
始まりは1995年ごろ、水中写真家の方が奄美大島の砂地の海底で、ミステリーサークル状のものを発見しました。発見当初は何が作っているのかわからず、まさかこのミステリーサークルを魚がつくっているとは考えもしなかったようです。そして2011年、水中写真家の方と、奄美の現地ダイバーが、フグがミステリーサークルの手入れをしているのを観察し、フグが作っていることがわかりました。これまで、このような構造物を作ることのできる生き物は知られておらず、世界的な大発見となりました。海響館は世界一のフグの飼育展示を行っている水族館です。このような話を聞いて、いても立っていられず、テレビ局の撮影に同行したり、何度も奄美へ行き調査を行い、その成果を学会などで発表してきました。のちに、このフグが、新種「アマミホシゾラフグ」として記載され、「世界の新種トップ10」に日本人が記載した新種として初めて選ばれました。
その中で私が初めて「完成した」ミステリーサークルを見たのは、奄美大島に4回目の調査に行った時だったと思います。それまでいくつものサークルを確認し、観察していたのですが、作りかけのものだったり、完成した後、形が崩れてきているものだったりで、完成しているものは見たことがありませんでした。それでも、直径約2mもの自分の身長よりも大きなサークルを見たときには興奮していました。しかし、完成したサークルを見たときには、作りかけのそれとは比較にならないものでした。完成したサークルは、いくつもの放射状の模様、中央の細かな模様、場所によって砂の粒経が異なるなどとてもきれいな構造物だったのです。このすべてをフグが作り上げたという話は聞いていましたが、やはり写真を見るのと、実物を見るのでは大違いでした。
「何とかしてこのサークルを色々な人に見せられないか、この感動を感じてもらえないか」
この思いがきっかけで、特別企画展「奄美の海探検記 ~ミステリーサークルの謎~」を企画しました。これまでの特別企画展は、パネルを見て読んでもらうのが中心でしたが、今回は、これまでになく映像をたくさん使い解説を行います。私が初めて完成したサークルを見たときのように、写真だけでは伝わらない生き物の動きや、細かな仕草などを伝えたいと思い、現地に何度も足を運んで、様々な物を撮影しました。
水槽の中の生き物の写真や動画などは撮影し慣れているのですが、実際の海ではそうはいきませんでした。専用の水中撮影機材を用意し撮影に臨みましたが、水中での撮影なので姿勢を安定させる事がなかなか出来ず、苦戦してしまいました。しかし、どうにか無事撮影し、特別企画展に間に合わせることができました。
また今回の特別企画展では、実寸大のミステリーサークルの模型を展示する予定にしています。砂の粒径など、細部まで本物そっくりになるようこだわって作り上げていますので、是非その大きさを実際に見て体感してみて下さい。会場でお待ちしています!
魚類展示課 園山貴之