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夜の見回り
まれに、「水族館は夜にだれか残っているのですか?」という質問を受けます。
今回はその質問にお答えしましょう。
結論から申し上げますと、「だれか残っています」。
もう少しいうと、一人ではなく複数人で残ります。そのうち一人は展示部という魚類、ペンギン、イルカの飼育スタッフのうち、だれかが一人が残っています。水族館には約550種55000個体の生き物がいますが、それらの異常がないかどうか見回りをしているのです。
見回りの時間は19時、22時、そして翌朝の7時。懐中電灯一本片手に館内を見回ります。
館内の照明は19時30分までついていることが多いのですが、生き物の状態などに合わせ、早めに消灯している場所もあります。22時にはほとんどが暗く、場所によっては、懐中電灯をつけないと真っ暗になっているところもあります。館内はもちろんお客様はいないので人の声も聞こえません。そのなかで、水槽のポンプの音、水の音のみが聞こえます。
そんなときに限って、岩が人の顔に見えたり、人の話す声のようなもの(←モーター音ですが・・・)が聞こえたり、霊感があるようなことを言っていたスタッフの、「あそこに子供の霊が・・・」なんて言っていたのを思い出したり・・・・!!
一番怖いのが地震や停電の時です。
水族館では電源が落ちるとポンプなどの機械類が止まり、生き物たちの生死にかかわります。予備の発電装置もありますが、停電が瞬間的であっても、館内に異常がないか確認するため、館内を走り回って点検します。
台風が直撃したときには、何度館内を走り回ったことか・・・でも、生き物たちが無事でいるのを確認した後はほっとしますね。そんなこんなで何とか耐えながら、次の日までのりきります。
もちろん見回りが終わったら、休む部屋もあるので、そこで眠ります。
でも楽しみなこともあります。それは生き物をじっくり観察できること。
お客様がいる時間帯は、いろいろな業務もありますし、お客様の前でじっくりと観察することは難しいです。また、夜は昼間とは違った動きをする生き物が多いです。寝ている生き物もいれば、夜行性で活発になっている生き物もいます。産卵や、ふ化も、夕方や日没後に起こることが多いです。ついこの前も、ハリセンボンの産卵が日没後に観察できました。
私が見回りするときには、お客様に生き物のこんなところを見てもらいたいな、こんな展示をしたら面白いんじゃないかな、などと考えながら見ていることが多いです。
今日は何か良いアイデアが思いつくかな?・・・それでは見回り行ってきます!
魚類展示課 園山貴之