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生き物たちの仮装!?
暑かった夏も終わり、すっかり秋めいてきましたね。10月といえばハロウィンの季節です!海響館でもハロウィンムードを盛り上げるため、ハッピーハロウィンin海響館を開催し、連休には恒例となった仮装大会も行います!仮装大会では、皆さん思い思いの気合いの入った衣装で仮装して参加してくださるのですが、実は魚たちの世界でも、他の魚になりきって(?)、そっくりな姿形をしている魚がいるんです。今回はその一部をご紹介しましょう。
生き物が、体の色や形などを、周りの物や植物・動物に似せることを「擬態(ぎたい)」といいます。擬態には色々なタイプがあるのですが、天敵が嫌うような生き物に姿形や動きを似せることによって身を守るための擬態を特に「ベイツ型擬態」といいます。昆虫など、陸上の生き物でもベイツ型擬態はよく知られているのですが、魚の仲間にもこのタイプの擬態をしているものが知られています。
たとえば、シマキンチャクフグというフグの仲間にそっくりな模様をしているのがコクハンアラの若魚やノコギリハギです。シマキンチャクフグは名前の通りフグの仲間で内臓に毒があるため、あまり敵に襲われることがありません。コクハンアラの若魚やノコギリハギは、そのシマキンチャクフグに模様を似せることで、身を守っていると言われています。
また、ゴンズイによく似た模様をしているのがコロダイの若魚。ゴンズイは背びれと胸びれに鋭いトゲがありそこに毒のある魚です。コロダイの若魚はそのゴンズイに擬態していると言われていて、小さな頃は特に泳ぎ方もくねくね泳ぐゴンズイにとてもそっくりです。
海のギャングとも言われ、どう猛で鋭い歯を持つハナビラウツボに擬態していると言われるのは、シモフリタナバタウオ。しかし、模様はよく似ていますが形はウツボほど細長くはありません。実は、シモフリタナバタウオは危険を感じると岩に頭を押しつけ、ヒレを大きく広げます。こうして、背びれの後ろにある丸い模様を目に見立て、あたかも岩の隙間からハナビラウツボが顔をのぞかせているかのような姿勢をすることで身を守っていると考えられています。
このように、魚の中には、他の種類の魚そっくりな姿形をすることで身を守っている種類もいるのです。
今回は、他の魚に擬態する魚たちを紹介しましたが、岩や海草などに擬態して身を守る魚や、逆にエサとなる生き物を襲うために擬態をする魚など、色々なタイプの擬態をする魚たちがたくさんいます。生き物たちはそれぞれ様々な工夫をして、厳しい自然界をたくましく生き抜いているのですね。
展示部魚類展示課 仁井崇晶