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下関市の○○
みなさんは、自分の出身、あるいは今住んでいる地域のシンボルになっている動植物はご存じでしょうか。全国の都道府県、市区町村では、その地域に関わりのある木、花、鳥などの動植物をシンボルとして制定しています。ここ下関市にもシンボルになっている動植物があり、今回は海響館とも関係がある、下関市の「魚」「動物」「鳥」の中から下関市の「魚」を紹介します!
★下関市の「魚」=フク
「フク?フグではなくて?」と思った方、実は下関ではフグのことを幸福の「福(ふく)」とかけて「フク」と呼んでいるのです。そのため、下関市の魚として登録されているのは「フク」なのです!
さて、ここからは皆さんに伝わりやすいように「フグ」と呼んでいきます。「下関と言えば、フグ」と言われるほど有名ですが、なぜそう言われているのかご存知でしょうか。フグの獲れる量が日本一だから?フグを食べる量が日本一だから?実はどちらも不正解です。正解は、全国からフグが集まってくる量が日本一だからです。下関には、全国で唯一のフグ専門の市場である南風泊市場があり、高い技術を持ったフグ処理師がいます。ここで毒のある部位などを取り去り、食べられる状態にする「みがき」を行って日本各地へ運ばれます。

実はこの間、下関のとあるお店で「トラフグのコース」を食べてきました。私も下関に来て、7年目になりますが、フグの中でも高級なフグとして有名な「トラフグ」を食べる機会はなかなかありません。

最初に出てきたフグ刺しは、硬く弾力のあるフグの身が、お皿の絵柄が透けるほど薄く切られているのが特徴的です。大皿に盛りつけられた姿、私はその美しさに魅了されてしまいました。2〜3枚を、添えてあるネギを巻き、ポン酢をつけていただくと、フグ独特の歯ごたえと旨味を味わうことができました。

もちろんフグ刺しは美味しいのですが、寒い冬におすすめなのが、フグ鍋です。優しいフグの出汁が出た鍋は、何を付けずとも美味しくいただけました。最後にその出汁を余すことなくいただける雑炊は格別の味でした。
今回は高級なトラフグ料理を紹介しましたが、他の種類では安価なものもあり、唐揚げや一夜干しなど美味しい料理もたくさんありますので、是非食べてみてください。
フグは食べて美味しい魚でもあるのですが、生き物としても面白い特徴を持っています。海響館ではフグの展示に力を入れており、なんとその種類数は約100種(※)!世界一の展示種類数を誇っています。(※フグ目のことを指しています)

たとえば、体の形に注目してみましょう!みなさんがフグと聞いて想像するのは最初の写真に出てきたトラフグのような丸い形をしたフグの仲間ではないでしょうか。それ以外にも、カワハギのように薄い種類もいれば、その名の通りハコのような形をしたハコフグ、頭だけが泳いでいるような形のマンボウ、体中にトゲを持ったハリセンボンなど、いろいろな形のフグがいるのです。さらには、体の形以外にも泳ぎ方、エサの食べ方、身の守り方など、フグならではの魅力的な特徴がたくさんあります。
下関に来られた際は、食べ物としての「フグ」を味わい、海響館で生き物としての「フグ」を楽しく学んでみてはいかがでしょうか。いろいろなフグたちが皆さんを待っています!是非自分のお気に入りのフグを見つけて、帰ってくださいね。
魚類展示課 下村菜月