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魚たちの恋愛事情~愛の試練~

皆さん、初めまして。新人お魚探検隊員の笠井です。気温も暖かくなり、海では多くの魚たちが求愛をはじめる時期になりました。皆さん、魚の恋愛というとどんなイメージがありますか?争いなんか全くなく、平和で幸せそうなイメージでしょうか・・・?
実をいうと、魚たちの恋愛には大小様々な試練が付きものです!メスを巡ってオス同士が争うこともあれば、数日間付きっきりで敵から卵を守ることもあります。今回は、そんな彼らの恋愛模様の一部をご紹介したいと思います。

○メスを追いかけろ!「卵争奪恋愛レース」
アミメハギは、最大でも7cmほどにしか成長しない小型のカワハギの仲間です。アミメハギの繁殖期は初夏から秋で、その時期になるとメスは産卵場所(海藻)を探してあちこち泳ぎ回ります。その間、オスたちは何をしているのかというと、そんなメスの後をひたすら追いかけ回します!しかも、オスたちは誰にいわれるでもなく1列に整列してメスの後を付いていき、メスの産卵と同時に一斉にメスの横に並んで卵に精子をかけます。つまり、オスは行列の前の方に並んでいた方が、産卵の時にメスのより近くに陣取ることができ、自分の子供をより多く残せるのです。メスとしても、レースに強い健康なオスの子供が多く欲しいので、わざと泳ぎ回ってオスを焦らしているとか・・・。

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○オスが口の中で卵を守る・・・けど!?
テンジクダイの仲間、クロホシイシモチは卵から子供が生まれるまでオスが口の中で守る「口内保育」を行います。そして、その間は一切食事をしません!・・・とここまでだと、「健気で頼れるイクメン」というイメージが強いですが、実はメスから受け取った卵の一部は、口に入れてそのまま食べてしまうのです!なぜ、せっかくの卵を食べてしまうのかというと、卵が孵化するまでの約10日間ほどを、オスは飲まず食わずでお世話をするため、卵が無事に生まれるころにはオスの体力は限界を迎えてしまいます。しかし、子供をたくさん残すためにはすぐに次の卵を育てなければなりません。そんなとき、体力を使わず簡単に食べることができ、さらに栄養満点な理想的な食べ物=「卵」となるんですね。何も食べずに死んでしまうよりも、少量の卵を食べて体力を回復し、残りの卵を確実に守る方がより子孫が残せるというわけです。 海響館の水槽でも、クロホシイシモチのお父さんが口いっぱいに卵を頬張っている様子が見られるので、暖かく見守ってあげて下さいね!

 このように、恋愛事情が詳しく観察されている魚は実はとても少ないんです。どのようにペアを選ぶのか、産卵・子育てするのか、魚たちの恋愛にはまだまだ分からないことが沢山あります。水槽の魚が普段見たことのない動きをしていたら、もしかしたら恋愛真っ最中かもしれません。「あれっ?何か不思議な動きをしているぞ!」と思ったら、じっくりと観察してみて下さい。まだ誰も見たことのない恋愛のドラマが見られるかもしれません。

魚類展示課 笠井未来

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