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赤?それとも青?
皆様こんにちは!お魚探検隊員の柿野です。今日は海の人気者「ウミガメ」の種類の見分け方をご紹介します。日本沿岸でよく見られる代表的な2種類のウミガメ「アカウミガメ」と「アオウミガメ」を見分けましょう。
「そんなの簡単に見分けられるよ~、赤いのがアカウミガメで、青いのがアオウミガメでしょ?」と思われた方はいませんか?
それでは下の2枚を見比べてみてください。
どうでしょうか?アオウミガメも甲羅の色はどちらかというと赤っぽいですよね。実はこの名前、見た目の色で名づけられたわけじゃないのです。アオウミガメは体の中にある体脂肪が緑っぽい色をしていることから名づけられたと言われています。ちなみにアカウミガメの体脂肪は黄色い色をしています。なぜ体脂肪の色が違うのかというと、その食性に大きな違いがあるからなのです。アカウミガメは貝類やカニなどの甲殻類を好む、肉食性が強い雑食、アオウミガメはリュウキュウスガモなどの海草や、海藻などを好んで食べる草食性の強い雑食なのです。
食べている物が違うということで、口の形も変わってきます。アカウミガメは貝類や甲殻類など、硬いものを沢山食べる為、アオウミガメよりも顎が大きく発達し、それを支える為に頭も大きくなっています。逆にアオウミガメは顎は小さい分、海草などを噛み切りやすいように嘴の噛み合う部分がギザギザになっているのが特徴です。頭の大きさも見分けるポイントになります。
そして上の写真でもわかる様に、頭部の鱗板ととばれる鱗の数や形、色も違います。
さらに面白い違いとしては、自然界で見つかるアカウミガメの甲羅にはフジツボなどが付いているのがよく見られるのに対して、アオウミガメの甲羅はほとんどがツルツル!アオウミガメはサンゴ礁の近くで生活をしており、岩場で休みながら、甲羅を岩にこすりつけて掃除をする様子がよく見られます。アカウミガメは遠く離れたメキシコまで外洋を回遊しながら成長します。
日本にはウミガメの産卵地はいくつかありますが、アオウミガメは日本では小笠原諸島や南西諸島でしかほとんど産卵が見られないのに対して、アカウミガメは太平洋側では福島県から沖縄県まで、日本海側では最北で新潟県でも確認されており、日本で最も産卵数の多いウミガメなのです。そしてアメリカ東海岸や南アフリカなどでも産卵は見られますが、北太平洋ではここ日本でしか産卵が見られていません。アカウミガメは日本人にとって最も身近なウミガメとも言えるかもしれません。早い所では5月頃から産卵が、8月頃から孵化が始まります。興味があれば是非見に行ってみてもいいかもしれませんね。その際は、神経質なウミガメの迷惑にならないよう、しっかり現地の観察ルールを守って、温かく見守ってあげましょう。
魚類展示課 柿野敦志