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フンボルトペンギンでは世界初 凍結精子を用いたペンギンの人工授精に成功しました‼

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海響館では、フンボルトペンギンでは世界初となる凍結精子を用いた人工授精に成功しました。これは、ペンギン類として世界で2例目、国内では初の偉業となります。海響館では平成24(2012)年よりペンギンの人工授精に向けた取り組みを開始し、人工授精に必要な基礎的な情報の蓄積をこれまで行ってきました。そして、この度凍結保存した精子を用いた人工授精により2羽のフンボルトペンギンが誕生しました。
現在、世界に約18種とされるペンギン類の多くの種類が絶滅の危機に瀕しているなかで、国際的に見ても生息域内での保全に加え,精子凍結や人工授精などの生息域外における保全に向けての技術確立も重要となっています。今回、半永久的に保存が可能な凍結精子で繁殖に成功したことは、今後の保全に向けて貢献できる有効な技術となります。海響館では今後もペンギン類の保全に関する技術の確立に向け取り組んでいきます。
【ヒナについて】

ヒナ1:2016年4月7日ふ化   メス (親 ♂ゲンキ×♀ハッピー)
ヒナ2:2016年4月10日ふ化 オス (親 ♂ゲンキ×♀ハッピー)

現在、フンボルトペンギン特別保護区でご覧いただくことができます。
【その他】

海響館が現在把握している限りでは、ペンギン類の人工授精成功の報告は2016年 アメリカのシーワールドで冷蔵精子および凍結精子を用いたマゼランペンギンの繁殖報告のみで、今回はフンボルトペンギンで凍結精子を用いた初めての成功例となります。
*他の報告ではアメリカのインディアナポリスのイワトビペンギンに人工授精を行い有精卵が得られているが人工授精によるものか確定できていない。
今回の成功は、絶滅危惧種のペンギン類の人工授精としても世界初となります。 フンボルトペンギンはIUCNのレッドデータブックでVulnerable(VU)〈絶滅危惧Ⅱ類:絶滅の危険が増大している種であり〉に指定され、CITES(ワシントン条約)においても附属書Ⅰ〈今すでに絶滅する危険性がある生き物〉に掲載されています。
海響館とチリ国立サンチアゴ・メトロポリタン公園は互いに協力しチリでのフンボルトペンギンの飼育下繁殖を支援し、野生地での研究や保全に貢献していく国際協定を結んでいます。ペンギン村温帯ゾーンの一つ「フンボルトペンギン特別保護区」での飼育・繁殖技術をメトロポリタン動物園に反映させ、ひいてはフンボルトペンギンの保護にも資することを目的とすることから、チリ国立サンチアゴ・メトロポリタン公園より「生息域外重要繁殖地」の指定を受けています。
本研究の成果は関連学会で報告する予定です。
本研究は神戸大学の楠比呂志先生、静岡大学の笹浪知宏先生の協力を得て行っています。

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