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第227回「スナメリの違い」
第222回「アシカの違い~オタリア編~」では、海響館で飼育しているオタリア2頭の違いについて紹介しました。今回は「スナメリの違い」を紹介します。海響館では現在、展示水槽で2頭、屋外の予備水槽(残念ながらご覧いただけません)で2頭の計4頭のスナメリを飼育しています。今回はその中で、展示水槽にいる2頭のスナメリ「ひびき」と「あいす」の違いを紹介します。まずは、2頭のプロフィールから。
ひびき:
オス、推定年齢22才。
2001年5月1日山口県山陽小野田市(旧 小野田市)の沖合で漁網に絡まっていたところを救護されたスナメリ。性格はおっとりしていて、物怖じしないタイプ。何でも器用にこなします。
あいす:
オス、5才。
2015年5月23日海響館で初めて生まれたスナメリ。性格は何事にも好奇心旺盛で、新しいことにも前向きに挑戦していくタイプ。遊ぶことが大好きで、トレーナーが潜水掃除をしている時も「遊んで~」と言わんばかりにアピールしてきます。
ここからは2頭の体の違いや特徴を紹介していきましょう。まずは体長から比べてみます。
スナメリの体長測定は、上の写真のように頭の先から尾ビレの切れ込みまでの長さをメジャーで測定しています。2021年1月7日現在、ひびき174.6㎝、あいす147.2㎝と2頭の体長差は約30㎝です。プールで泳いでいるところを横から見ても2頭の体長差を感じにくいのですが、実際の測定値で比べてみると意外と差があります。但し、若いあいすはこれからもぐんぐんと成長していくので、いずれひびきに追いついていくでしょう。
次は顔の違いです。横顔が分かりやすいため、横顔で比べてみます。
違いがわかりやすいのは目の周辺で、ひびきは目があいすより少し目が大きく、周りが少し黒くなっています。あいすは左目の前に線があるのが特徴です。他にも写真をよく見てもらうとわかるのですが、ひびきには口の周りに薄く黒い模様があります。
続いて体全体を見てみましょう。
体の色は、あいすが白っぽい灰色で、ひびきのほうが黒っぽい灰色をしています。体型にも違いがあり、ひびきはスラッとしていますが、あいすは少し丸みがあります。
最後は尾ビレです。
泳いでいるスナメリの尾ビレで見分けるのはかなり難易度が高いですが、よく見てみると違いがあります。ひびきの尾ビレは一部へこんでいるところがあるのが特徴です。それに比べてあいすは、へこみ一つない綺麗な尾ビレをしています。
いかがでしょう。スタッフがどうして動物たちを見分けられるのかという声をよく耳にしますが、毎日顔を合わせている私たちにとっては、ひびきとあいすにこんなにもたくさんの違いがあることを知っているのです。皆さんも海響館に来た際には、ひびきとあいすを見分け、より親近感をもってもらえれば嬉しく思います。
海獣展示課
一木 晴花