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高難度!ハナギンチャク捕獲クエスト
海響館で展示している生き物たちの中には、飼育員が海へ赴き採集してきたものもいます。魚を採集するときは釣ったり、網ですくったりしていることが想像できますね。それでは、それ以外の生き物は?今回は、皆さんが想像しにくいであろうハナギンチャクの採集方法についてお話ししていこうと思います。
まず、ハナギンチャクとはこんな生き物。

イソギンチャクによく似ていますが、違うグループの生き物です。見た目の通り泳ぎ回ったり走り回ったりはしません。イソギンチャクが岩などにくっついているのに対し、ハナギンチャクは体から分泌する粘液で砂の中に巣穴を作ります。粘液と砂が混ざった巣に体を包まれるようにして、砂の上に触手を広げているのです。つまり、こんな風に砂の中に本体を伸ばしています。

海響館に展示しているのはほとんどがムラサキハナギンチャクという種類で、その色に様々なバリエーションを持ちます。
さて、泳ぎ回りも走り回りもしないハナギンチャクをどのように採集するかというと、砂の中に手を突っ込んで、砂から巣ごと引っこ抜いてしまうのです。簡単だとお思いでしょう。ところがこれ、なかなか難しいんです。ざっくり図解をすると、

こうなってるハナギンチャクを……

砂の中に手を突っ込んで!

引っこ抜く!
簡単だと思いましたね?本当に難しいんです!本当です!どうしてもご納得いただきたいため、ハナギンチャク採集難しいところ三選を挙げていきます。
①見つけづらい
ハナギンチャクはだだっ広く透明度の低い砂底に生息していることが多く、加えて群棲しないことが知られています。つまり、全体的に視界の悪い広大な砂底でとにかく目を凝らしながらハナギンチャクを探し出し、捕獲。失敗すればまた目を皿にしながら広大な砂底をさまようことになるのです。
②引っ込む
イソギンチャクが驚くと触手をしまいこむ様子は想像がつきやすいですね。例にもれずハナギンチャクも驚くと触手を引っ込めます。ただし、体ごと、引っ込みます。地中深くへ伸ばした巣穴に体ごと素早く引っ込んでいくのです。一度気配がばれてしまったが最後、巣の奥深くへと逃げられてしまいます。


③水が濁る
水の中で砂に手を突っ込むと、当然砂が舞って視界が濁ります。視界が濁ると手元のハナギンチャクを見失います。見失うと、距離感が分からなくなって気配がバレる可能性が高くなります。対策はというと、濁りを最小限に抑えるためにゆっくり動くことくらいです。ハナギンチャク採集に、焦りは禁物なのです。
つまり、ハナギンチャクを見つけ出したら、砂が舞わないようにそっと砂に手を差し入れ、ある程度のところで一気に(ハナギンチャクが引っ込むよりも素早く!)、巣を握ってハナギンチャクの退路を断ちます。握ったまま砂から持ち上げて、捕獲完了です。



持ち帰ったハナギンチャクは、巣ごと水槽の砂に埋めてしまえば、またそこで定着してくれます。そうして、皆さんに見ていただけるようになるわけです。
このように、水族館にいる生き物たちには、水槽にやってくるまでのストーリーがあります。それぞれのストーリーに思いをはせながら館内をまわってみるのも、面白いかもしれませんね。
注)生物や場所によっては採集に特別な許可が必要なことがあります。個人的に採集をする際は、調べてから実施するようにしましょう。
魚類展示課 皆川梢


