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クラゲ水槽の変遷

皆さん、ここ数年で海響館のクラゲ水槽の雰囲気が変わっていったのにお気づきでしたでしょうか?

海響館がオープンしてから20年近くは長らくこの様な水槽でした。

背景が青く、周囲を覆っている黒い板は多数の穴が空いたもの(多孔板)でした。

しかし、そこからこのように改良を加えました。

そう、背景を黒色に変更しました。

もともと青色であったのは、おそらく水中を表現するためだったと思います。ただ、ここで展示しているのはクラゲ。夏場によく出現し、海水浴客を刺すアンドンクラゲなんて、水中ではどこにいるのかわからないくらい透明です。それなのに自然に近い色にしてしまったら、せっかくのクラゲが見えにくいじゃないですか。クラゲ担当としては、色々なクラゲを見てもらってなんぼ。どこにいるかが分かるのはもちろん、その輪郭、触手の先までしっかりと見てもらいたいのです!
変更の前後でしっかりとデータをとったわけではありませんが、しっかりと見てくださる来館者が増えたように感じました。内部的にも好評で、そのまま黒にすることになりました。

次に変更した姿がこちら。

どこが変わったか分かりますか?多孔板の上に、薄い板を置いてみたんです。これを置いたのには3つ理由があります。

1つ目が水の流れの調整をしやすくするため、2つ目がクラゲが傷つきにくくするため、3つ目が効率良くエサを与えるためです。

模式的に変更前の水の流れを表すと下のようになります。

変更前は、多孔板の穴から外に水が逃げ、水槽の中を回る水の勢いが最初と最後で大きく変わってしまっており、泳ぐ力の弱いクラゲは図の左側に溜まってしまう傾向がありました。
そうならないためには最初の勢いを強くする必要がありますが、そうするとクラゲは最初の強い流れによって多孔板に体がぶつかり、体が削れ、弱りやすくなります。また全面から水が逃げてしまっているため、クラゲのエサとなる小型のプランクトンもすぐに水槽内から流れ出てしまっていたのです。

ところが、どうでしょう。たった一枚板を敷くだけで、この3つの欠点が解決したのです。

一部は排水するために穴がある状態にしましたが、多くを塞ぐことで、水の勢いが弱まることがなくなったため、最初の勢いが弱くてもしっかりとクラゲが回るようになりました。そのためクラゲが板にぶつかる頻度が減り、仮に板にぶつかったとしても、多孔板と違い引っかかりが少ないため体が削られることがなく、弱りにくくなりました。そして、今までは1時間程度のうちになくなっていたエサが半日も保つようになり、与えたエサのほとんどを食べてもらえるようになりました。

このように少しずつ展示水槽を変えていきましたが、今回の休館を経て、3つあるクラゲ水槽の内2つは、さらにこんな風に変わりました!

今までの変更をすべて反映させた水槽です!(他の水族館でも見たことある形とかは言わないで)

形は八角形になりましたが、背景は黒、周囲は穴の無い板という構造です。これに変更したことにより、今まで展示できなかった種が展示できたり、短期飼育になっていた種を長期展示できるようになったりすると思います!(実際、今まで数日しか飼育できていなかったアンドンクラゲは1ヶ月以上飼育出来るようになりました!)

今後、どんなクラゲが展示されるのか、ご期待ください!

魚類展示課 飯島 卓也

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