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意外と知らない!?マトウダイの飼育にチャレンジ!

 皆さんはマトウダイという魚を知っていますか?名前なら何となく聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。体側に弓道の的のような模様があることから的鯛、馬のような長い頭部をもつことから馬頭鯛と漢字で書かれるように、姿形が大変ユーモラスな魚なのですが、漁獲量が少ないことからメジャーな魚ではないようです。ただ味は良く、フランス料理ではムニエルの定番とされています。

 そんなマトウダイですが、水族館で見かけたことは少ないと思います。実は飼育が難しい魚なんです。今回は本種の採集、飼育にチャレンジしました!

 2017年12月27日、山口県長門市。漁師さんの定置網漁の船に同乗させていただきました。マトウダイは冬季に産卵のために接岸するとされ、定置網にはこの時期に少量しか入網しません。出港は夜9時。網をしかけてある漁場へ向かいます。到着後、はやる気持ちを抑えながら網揚げをお手伝い。

 そして・・・この日はそれまでより多くのマトウダイが入網していました!寒さも吹き飛び一安心。ただ、様子が変です。他の魚よりも一番最初に姿が見え、皆浮かんでいます。実は、本種のうきぶくろには空気が入りやすく、うまく輸送、飼育をするのが難しい魚だったのです。

 これまでも別の魚の入手の為に乗船していた際に、本種を少数確認することがありましたが、そのほとんどに空気が入っていました。今回もそうだろうと予想し、持参した注射針で何とかすべての空気を抜き、活魚車へ。海響館へ到着後、急いで水槽へ収容しましたが、ほとんどが完全に浮くか沈んだ状態に。結局長生きさせることができずに死亡してしまいました。

 網の中ですでに傷ついていたことも考えられますが、空気を抜く位置や抜く量に問題があったと考え、死亡してしまった個体を解剖し、うきぶくろの位置などをしっかり確認しました。

 2018年1月21日、山口県萩市へ。再挑戦です。今回は入網が5個体のみと少なかったのですがそれが奏功したのか、それほど傷ついておらず、船上ですぐに空気抜きを行い、海響館へ搬入しました。結果1個体のみですが何とか普通に泳げる状態まで回復させることができました。

 2018年4月現在、餌付けに挑戦中です。生きたカタクチイワシは食べさせることができたのですが、動かないエサには全く反応してくれません。口にくわえさせたり、他の魚が食べるところを見せたり等を試みているところです。

 2階とれとれタンク水槽にて展示中ですので、生きた姿を見たい方は是非お早めにお越し下さい。

魚類展示課 石橋將行

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