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第236回「イルカの違い」

 第222回「アシカの違い〜オタリア編〜」、第227回「スナメリの違い」に続いて、今回は海響館で飼育しているバンドウイルカの違いについて紹介します。

 海響館では現在7頭のバンドウイルカを飼育しています。他の動物たちと同じようにバンドウイルカを見分けるのにもいくつかポイントがありますが、その中から水中のアクリルガラス越しや遠目からでも皆さんが分かりやすい見分けポイントを紹介します。

 まずは背ビレの特徴がわかりやすい4頭(ティアラ、ラナ、くるり、パール)について。

 バンドウイルカの背ビレの形は、個体によって生まれつきカーブが緩やかだったり、先端が尖り気味だったりと少しずつ違いがあります。中には先端が欠けていたり、傷があったりする個体もいますが、これは海で生活している時にできたものです。

 海響館にいるイルカの内6頭は自然からやってきていますので、このように背ビレに傷があることは珍しいことではありませんので安心してください。背ビレは、イルカが呼吸のために水面まで来た際に水面上に出るため、体の他の部分に比べると観察しやすく、野生のイルカを対象とした調査でも、背ビレの傷や形の違いからどの個体かを見分けることがあります。

 では、海響館のイルカを見分けるポイントに入っていきましょう。

 ティアラは、背ビレ後方(写真の左側)のカーブが滑らかな曲線ではなく直線的で、付け根部分(赤い丸印)が欠けています。ラナは、背ビレ後方の上の方に三角形の切れ込みがあり、くるりは背ビレの先端が欠けています。パールは他の3頭と比べるとかなり小さいですが、後方(写真の左側)に小さな欠損があり、背ビレ上方には斜めに太めの一本線のような白い傷跡があります。

 次に、背ビレに大きな特徴がない3頭(アルカ、パッチ、ルナ)の見分け方です。

 まずはアルカ(下写真)。アルカは右目の後方に長い線状の傷、胸ビレの横(赤い丸印)には丸型の傷痕があります。これは海でダルマザメという小型のサメに噛まれた傷で、なかなか消えない傷痕です。近くで見ると2枚目のような形をしています。

 続いてパッチとルナ。(下写真)パッチもルナも体に目立った傷はありません。バンドウイルカは背中側が黒っぽく、お腹側が白い体色をしていますが、パッチはその境目がはっきりとしているのに対して、ルナは境目がぼんやりとしています。

 見分けるためのおすすめの場所は、アクアシアター1Fのアクリルガラス面です。ゆったりとイルカが泳いだり、沈んで止まっていたりすることがあるので、是非見比べてみてください。

海獣展示課

西田 有里

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