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第223回「ルナの内視鏡検査」

 これまで動物たちの健康管理について色々と紹介してきましたが、今回はバンドウイルカ「ルナ」にトレーニング中の胃の内視鏡検査について紹介します。

 胃の内視鏡検査を経験した人の中には苦しかった方もいると思うので、そんなこともトレーニングでできるの!?嫌がったりしないの!?と思われたかもしれませんが、この内視鏡検査も決して特別なトレーニングではなく、他の健康管理のトレーニング同様にトレーニングすることで動物やヒトの負担もなく、いつでも胃の中を見ることができるのです。また、ヒトでは胃の内視鏡検査は苦痛軽減のために、のど麻酔(咽頭麻酔)や鎮静剤を使用し眠ったような状態で口もしくは鼻から内視鏡を入れて検査を行いますが、イルカたちはというと・・・・、普段から内視鏡より太いサイズの魚を丸飲みしていて「おぇっ!」ってなることはないので麻酔等は使用しません。とはいえ、エサ以外のものを飲み込むことには多少なりとも違和感や抵抗があるので、トレーニングはゆっくりと行います。ルナに対しては、まず上顎や舌にカメラを当てる練習から始めました。この時、ルナが偶発的に口を閉じてしまうと、トレーナーの手や機械を傷つけてしまうためより安全に検査ができるように塩ビパイプを噛んでもらいました。そして嫌と思わせないように時間をかけてじっくりと食道へと内視鏡を入れていき、慣れてもらうようにしました。

 じっくりとトレーニングを進めたおかげかルナの性格なのか、他のイルカではカメラを口の中に入れると力が入ってしまい奥まで入らないということがありましたが、ルナは全く嫌がることも力が入ることもなく短期間で胃まで内視鏡を入れることができました。現在は、胃の中の状態がきちんと見れるように内視鏡を入れている時間を長くできるようにトレーニングをしています。動物たちが健康で幸せに日々を過ごすためにも、今後も色んなトレーニングに挑戦していきます。

海獣展示課

河村 景子

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