menu

loading...

第218回「1つのショーができるまで・・・」

 第206回「海響館のイルカとアシカの共演ショー、貴方はどこまで知っている?」では、日中のショーはおおよそ2年毎にテーマが替わり、夜の水族館では毎回テーマが替わっていることを紹介しました。今回は、どうやって1つのショーを創り上げているのか?について紹介します。

 1つのショーができあがるまでには大きく5つの工程があり、海響館では全ての作業を私たちトレーナーが役割分担して行っています。

 まず1つ目は「テーマ(内容)」の決定。ショーのテーマは、今の流行やこれから流行しそうなもの、注目されているものを調べて決めています。例えば、今回のショーは、「Five rules~トレーナーのひみつ~」と題して、トレーナーとイルカやアシカが楽しむための5つのひみつについて紹介するものです。ちなみに、この“5”という数字は2020年に開催予定であったオリンピックのシンボルマーク“5つの輪”からきています。ショーの内容はオリンピックと全く関係ありませんが・・・(笑)。

 2つ目は「構成」、テーマが決まると今度はトレーナーのセリフや動物のパフォーマンスなど、全体の内容と構成を考えていきます。構成で大切にしているのは“教育的要素を組み込むこと”。といっても難しくなったり、盛り沢山にすると退屈さを感じてしまうので、皆さんに楽しんでもらいながら、いかに動物たちの能力や生態について『へぇ~』と思ってもらうかということに頭を使います。

 そして、3つ目は「演出」。内容に沿った曲や衣装を選び、ショーステージにあるバックパネル(背景画)の描画デザイン案やステージ上に設置する演出用の道具などを考えていきます。また、トレーナーの動きやアナウンスなどの言い回しも考えます。星の数ほどある楽曲から選曲する作業は、いつもかなりの時間がかかる大変な作業です。

 4つ目は「練習」。トレーナー側の練習と動物の練習を分けて行っていきます。トレーナー側の練習というのは、実際のステージを使いトレーナーだけでセリフを覚えながら、全体の流れを確認していきます。劇団でいうと…立ち稽古というものでしょうか。練習を行っていく中で、セリフの言い回しが伝わりにくいと気付くことが多く、セリフを変えることが多々あります。セリフを覚えては、セリフが変わり、また新しいセリフを覚えることを繰り返していきます。今回のショーでは、新型コロナウイルス拡大に伴い、お客様に参加していただくシーンをカットせざるを得なくなり、急遽ショーの一部を変更しました。そのため、14回もセリフや動きを変えていきました。トレーナーだけの練習が8割程できるようになると、ようやくイルカやアシカを合わせた練習を行います。そして、セリフや動きの「練習」と並行して、動物たちは新しいパフォーマンスに向けたトレーニングを行っていきます。

 最後の5つ目、最終チェックとして出来上がったショーを館長含め、水族館の他のスタッフに見てもらい、細かな修正を行います。これで、ようやく一つのショーが完成です。

 この5つの工程を日中のショーは約半年前から、夜のショーは2ヶ月前から取り組み、ショーを創り上げているのです。現在は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休館中ですが、6月19日に営業再開が決まりました。ショーは実施する予定ですので、より良いパフォーマンスを見ていただくために、今も私たちは動物たちとのトレーニングを集中して行っています。楽しみに待っていて下さいね。私たちも皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
※イルカとアシカの共演ショーは、密集を防止するために中止となる場合がありますのでご了承ください。

海獣展示課

河村 景子

PAGETOP