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第215回「ビジュアルセレクション」

 海響館のイルカたちは、トレーナーが手や体を使って出す数多くの合図を見分けて様々な行動を行っています。今回はその中の一つ、「ビジュアルセレクション」についてご紹介しましょう。ビジュアルセレクションとは、一人のトレーナーが複数のイルカを一緒にトレーニングやショーをする時に、「一頭だけに合図を出したい」「一頭ずつ別々の合図を出したい」などといった時に、どのイルカが行動するのかを伝えるための合図です。

 まず、行動をしてほしいイルカを指さします。「君に合図を出すからね。」という感じです(写真①)。

 そして、トレーナーが合図を出すと、指をさされたイルカだけが反応します(写真②)。

 「指をさされたイルカだけが反応する」という言葉だけだと簡単そうに聞こえますが、実はこのビジュアルセレクション、指を「さされていない」イルカ(上の写真では左側のイルカ)が次の合図に反応「しない」ことを伝えるのがキモなのです(写真③)。

 海響館では、トレーナーから合図が出たら動物はすぐに反応するようにトレーニングを行っているので、指をさされなかったイルカは、合図を見ても「反応しない」という普段と逆のことをしないといけないため、実はトレーニングを行わなければならないのは「反応しない」イルカの方なのです。

 身体能力を引き出したジャンプなどのパフォーマンスだけでなく、このように頭を使うトレーニングを取り入れることで、動物たちが海響館での生活を身体的、精神的に楽しめるよう、トレーナーは日々試行錯誤しているのです。

海獣展示課

墨 則和

 

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