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第207回「「カチン」あの音はどこから?」

 イルカアシカ情報第178回で、トレーナーが使っている道具についてお話ししました。今回は、笛、クリッカーとはまた違った道具のお話です。

 こちらの道具(右側の金属部分)、海響館では「リコール」と呼び、金属同士がぶつかって鳴る「カチン」という音を動物への合図として使用しています。それでは、このリコールをどのように使っているのかイルカを例にご紹介しましょう。

 海響館では、イルカに対して3つの使い方でリコールを使用しています。まず1つ目はコールという使い方で、主にトレーニングを始める時に使用します。プール内を自由に泳いでいるイルカたちに対してリコールを鳴らすことで、個体ごとにそれぞれ決まった場所に集合します。「今からトレーニングを始めるよ、集まっておいで~」といった感じでしょうか。2つ目はストップ&リターンという使い方で、何かしらのパフォーマンス・行動を行っている時にリコールを鳴らすと、そのパフォーマンス・行動を止めて、トレーナーの前、もしくは最初の場所に戻ってきます。例えば、トレーナーの前からスタートしてジャンプに向かったイルカに対してリコールを鳴らすと、ジャンプすることをやめてトレーナーの前に戻ってきます。そして、3つ目はディレクション(センド&リコール)という使い方です。Aというトレーナーの元からBというトレーナーのところへ移動させるような、2点間の移動に使います。例えば、海響館に2つあるイルカプールで、ショーを行う大きなプールから小さなプールで移動する場合、Aトレーナーがイルカに「行きなさい」という指差しの合図を出し、Bトレーナーがリコールを鳴らして「ここにおいで」と示します。合図が出されたイルカはBトレーナーの元へ行き、移動完了となります。

 「カチン」という1つの音にもいくつかの意味や使い方があるので、イルカとアシカの共演ショー「アクアシアター」や合間で行っているトレーニングを見る際は、トレーナーがリコールを鳴らすタイミングや方法にも注目してみると、面白いかもしれませんよ。

海獣展示課

一木 晴花

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