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第184回 イルカの耳

 皆さんはイルカの耳がどこにあるのか知っていますか?ぱっと見ただけではわかりませんね。

 目から後ろ(尾ビレの方)にたどっていくと針で穴を開けたような小さなくぼみがあります。これがイルカの耳です。私たち人間とイルカの耳、どのような違いがあるでしょうか。今回はその一部をご紹介しましょう。

 一つ目は「耳介(じかい)」です。耳介とは耳の外側に張り出ている部分で、音を集める機能を持っています。しかし、写真を見てわかるようにイルカの耳には耳介(じかい)がありません。イルカは水の中を泳ぐためにできるだけ出っ張りがない流線形の体へと進化してきた動物で、その進化の中で耳介もなくなったと考えられています。

 二つ目は「耳の穴(外耳道)」です。私たち人間は耳の穴があって、耳介で受けた音が耳の穴に入ってきます。イルカはというと、最初に書いたように外見上は針で穴を開けたようなくぼみしかなく、耳の穴はとても狭くて耳垢でふさがっているのです。

 三つ目は「鼓膜」です。鼓膜は耳の穴から入ってきた音(空気の振動)に対して振動し、鼓膜とつながっている耳の骨を通じてさらに奥の内耳へと音が伝わりますが、水中で生活し耳の穴がふさがっているイルカには当然鼓膜もありません。耳介がなく、耳の穴がふさがっている、おまけに鼓膜もない、それではイルカはどうやって音を聞いているのでしょうか。実は周囲の音を下顎(したあご)の骨にある脂肪を通して耳の骨、そして内耳に伝えているのです。また、エサを獲る時や周囲の状況を把握するために自ら超音波を発して、物体から跳ね返ってきた音も下顎を通して聞くことで物体の距離・方向・大きさなどを把握しています。これを「エコーロケーション」といいます。このように、一生を水中で暮らすイルカは、水の中に適応した体の仕組みになっているのです。

 

 海響館1階イルカプール水中観覧面からイルカの水中での様子をみることができます。よく観察しないとイルカの耳はなかなか見つけられないかもしれません。目を凝らしてイルカの耳を探し当ててみて下さい。

海獣展示課

井上 美月

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