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第180回「イルカの補水」

 今回はイルカの健康管理のために行っている「補水」のお話です。「補水」とは体に必要な水分を補うことです。海響館では定期的に動物の採血を行っており、血液の状態を見ることで動物に水分が不足(脱水)していないかどうかを検査し、脱水していると診断されれば補水を行います。それでは、どのような方法で補水を行っているのでしょうか。
 海響館がイルカに行っている3種類の補水の方法について紹介します。

 

① ゼリーを与える。
海響館ではシシャモと同じぐらいの大きさに切り分けたゼリーを毎日すべてのイルカに与えています。これによりゼリー1本当たり約50mlを補水することができます。個体によっては魚とは違う食感を警戒して口に入れても吐き出すなど好き嫌いはありますが、ゼリーを食べることに慣れてしまえば手軽に補水ができるようになります。

 

 

② 解凍したエサ(魚)のおなかに注射器で水を入れる。
エサに直接水を注入する方法は、エサの食感が変わることがないため動物には違和感を与えずに補水することができます。しかし、アジやシシャモ1尾に注入できる水の量はゼリー1本と比べるとかなり少なく、補水の量を多く必要とする場合はたくさんの魚に注入しなければならず、エサの魚が足りなくなることがあります。

 

 

③ イルカの胃までホースを入れ、直接水を流し込む。
イルカの胃にホースで水を直接流し込む方法は、短時間に多くの量を補水することができるためとても効果的です。これを行うためにはイルカの口から60~80cm奥の胃までホースを入れられるようにトレーニングをします。普段からサバやサンマなどの魚を丸のみしているため、ホースぐらいの太さであればトレーニングをすることで飲み込むことができるようになります。とは言っても、無理にホースを入れようとすると嫌がってしまうこともあるため、イルカとの信頼関係を築きながらトレーニングを行うことが必要です。

 

このように、採血などの定期検査によって健康状態を常に把握しつつ、様々な方法で動物が脱水にならないように予防し、また脱水になってしまった場合でも対処ができるようにしています。

 

海獣展示課

鍬崎 賢三

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