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休館中の海獣類たち
海響館は、施設や設備の改修工事のため令和6年12月より休館しています。そんな休館中の海獣類(イルカやアシカなど)たちの様子はというと…“開館中と変わりません!”。少なからず、お客様がいないことで環境の変化は感じていると思いますが、みんな元気いっぱいに過ごしています。では、この休館中、私たちトレーナーと海獣たち(以下、「動物」といいます)は何をして過ごしているかというと、リニューアルオープンに向けて新しいトレーニングを行っています。「ショー(私たちはプレゼンテーションと呼んでいます)がないのに、トレーニングをしているの?」と思われる方もいらっしゃると思います。この点がよく誤って理解されているのですが、トレーニングとはプレゼンテーションのために行うものではありません。
トレーニングを行う主な目的は次の3つとされています。
①身体的な運動(ジャンプや素早く泳ぐなど体を動かしエネルギーを発散する)
②精神的な刺激(トレーナーと関わることで考えたり、ワクワクしたり、楽しいと思う内面的な刺激)
③協力的な行動(トレーニングを行うことで良好な関係を築き、人に体を預けてくれる、何でも受け入れてくれる(健康管理の検査などが必要な時にもいつでも受け入れてくれる))
つまりトレーニングは、動物たちが心身ともに健康であり、より良い生活を送るために必要なものなのです。そのため、私たちは毎日多くの時間を動物たちと過ごし、たくさんのトレーニングをしています。そして海響館では、トレーニング=コミュニケーションと考えており、「これどうかな?」「こうしてほしいな?」などを様々な方法で動物たちに伝え、動物たちの反応を見て感情をくみ取りながら行うものとしています。このように毎日行うトレーニングでできた行動の一部を切り取り、皆さんにわかりやすく動物たちのことについて知ってもらえるよう形作ったものがプレゼンテーションなのです。トレーニングの大切さ、少し知っていただけましたでしょうか。
では、現在行っているトレーニングを少しご紹介しましょう。アシカたちは、海響館の特色でもあるイルカとアシカのコラボレーションをさらに発展させています。はじめはアシカもイルカも距離が近付くと互いを気にしていましたが、トレーニングを積み重ね、一緒に泳いだり一緒にジャンプしたり、様々な行動が新しくできてきています。

イルカはキャッチボールをトレーニングしています。この行動は片方のイルカがボールを投げ、もう片方がキャッチするのを泳ぎながら繰り返すというもので、これはまさに頭の運動です。ボールを飛ばすことやトレーナーの元に投げることまではすぐにできたのですが、隣のイルカに投げる、投げられたボールをキャッチするというイルカ同士の意識作りがとても難しかったです。時には、片方のイルカが力強くボールを投げすぎてボールが別の場所に飛んでいったり…ボールの咥え具合が悪いからなのか?隣のイルカに渡さなかったり…。イルカたちがどうやったら上手くできるかを考えながらやっている姿がとてもかわいいなと感じます。現在は目標の形に近づいており、これも皆さんにご覧いただければと思っています。このトレーニングの様子は海響館公式インスタグラムにアップしていますので是非覗いて見てくださいね。

新しいトレーニングを行うことは、動物たちにとって新しい刺激となりワクワクも増え、いろんな表情や考える姿勢を見せてくれます。言葉は通じませんが、トレーナーが伝えたいことがトレーニングを通して動物たちに伝わった時には喜びを感じますし、動物たちも私たちが“いいね!”と伝えると楽しみながらトレーニングに参加しているように感じます。動物たちの能力を皆さんに見てもらえる日を楽しみにしています。リニューアルオープンは8月1日です。
海獣展示課
薮亀 晴花