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楽しい時間
言葉が通じない相手と気持ちを通わせた経験は、誰にでもあると思います。
赤ちゃんの表情を読み取ったり、ペットのしっぽの動きから気持ちを想像したり、海外で言葉が通じなくても笑顔や仕草で意思疎通ができたり。
そんな「言葉を使わないコミュニケーション」は、私たちの日常にたくさんあります。
動物とのトレーニング(海響館ではエンリッチング※と呼んでいます)も、その延長線上にあります。
動物が見せる小さな変化を丁寧に受け取り、こちらの意図をどう伝えるかを工夫し、返ってきた反応をまた観察して、こちらからも反応する。人が動物にとって良いもの(「うれしい」や「心地よい」と感じる物や事)を提供することを重ねることで、動物との良い関係が生まれるのです。
そして、その時間をより豊かにするのが、“楽しさ”です。
人が楽しんでいないと、動物も楽しさを感じることは難しいものです。だからこそ私たちは、新しいことに挑戦しながら、動物が「この人と過ごす時間は楽しい」と感じられる関わり方を大切にしています。
楽しい時間の中で、動物は自ら進んでエンリッチングに参加し、身体を動かし、頭を使い、心が刺激されます。その積み重ねは、動物の内面の健康にもつながります。
そして、スタッフと動物が互いに笑顔で過ごせる時間こそが、私たちが目指すエンリッチングの姿です。
言葉がなくても気持ちは伝わる。
楽しさがあれば、関係はもっと深まる。
その2つが重なったとき、お互いが楽しい時間へとなるのです。
※「エンリッチング」とは?
海響館が作った造語です。
動物トレーニングのことを指す言葉で、トレーニングの本来の目的が「動物を心身共に健康にするため」であり、「エンリッチメント(環境を豊かにする)の一つ」という考えから、それを適切に表現するために「エンリッチング」と呼ぶことにしました。
トレーニングは、日本語では「訓練」や「調教」と訳され、人でも「鍛錬」などに用いられる言葉であるため、動物トレーニングは動物に何かを強いているものとして捉えられることが多くあります。しかし、実際には強いるものではなく、動物に良い影響を与えるものであるという正しい理解を内外に広く認識してもらうために造語で表現することにしました。


海獣展示課
河村 景子


