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テングダイを食べてみた

 皆さんこんにちは!魚を見るのも食べるのも大好きな展示スタッフの柿野です。去年(令和2年)の3月に、あまり食卓に上がらない魚として「クサウオ」と「ムラサキダコ」を紹介しましたが、今回は第2弾として、「テングダイ」という魚を紹介します。

 

 

 テングダイは薄い黄色の体に黒い縞模様が入り、ヒレが鮮やかな黄色の魚です。山口県沿岸でも漁獲されますが、大きな群れを作らない為か、まとまった数が獲れません。さらに派手な見た目のせいか、私が知る限り山口県内の漁師さんは市場にも出さず、自分で食べることもほぼありません。しかし!実はこの魚、インターネットなどでは美味しい魚として知られています。

 

 

 ではまず体をじっくり観察していきましょう。見た目の印象はハタタテダイやツノダシのような、南国の魚にも見えます。兵庫県で野球をして育った私にとって、地元にある某人気プロ球団のカラーを彷彿とさせ、胸が熱くなります。

 

 

 体高が高くカワハギに似た体型で、写真では分かりにくいですが下顎にはヒゲのような皮フの突起物が沢山あります。頭部は非常に硬くゴツゴツとしており、口の中は真っ黒で舌に謎の突起が一つ見えます。このテングダイという魚、ウミシダやクモヒトデ等の棘皮動物を好んで食べるそう・・・それに関係しているのかな?それにしても、そんな生き物を食べている魚が、ほんとに美味しいのかな?と思ってしまいます。

 

 

 それでは調理していきましょう。まずウロコを取ってから、三枚におろしていきます。その後刺身を作って、頭や骨はアラ汁にしていきます。刺身は通常の皮を取ったもの、エンガワ、皮つき、皮つき炙りの4種類作りました。テングダイは背ビレが他の魚より非常に大きく、その付け根にエンガワがありました。【※エンガワは一般的にヒラメやカレイのヒレの付け根部分(専門用語では担鰭骨)のことを指します。】皮がマダイやイサキ等のように美味しいかどうかも気になるところです。内臓のほとんどは捨ててしまいましたが、肝臓や卵巣はそのままアラ汁に入れて堪能することにしました。

 

 

 食味ですが、まず皮を取った刺身は透明感があり美しく、クセのない甘みが広がります。さっぱりしていて日本酒にもよく合いそうです。次にエンガワ部分、脂がほどよくのっており甘みにコリコリとした食感がプラスされてグー。そして気になる皮つきはというと、硬さがかなりありますが、噛むほどにじわっと染み出る旨味を感じます。炙りの方は香ばしい香りを感じ、生では硬かった皮は少しマシになり食べやすくはなったものの、人によっては好みの分かれる食感でした。次回食べるときは湯引きも試したいと思います。

 

 

 さて、付け合せのアラ汁ですが、刺し身で残ったアラ(頭や骨)と卵巣、肝臓を煮詰めながらアクを取りつつ、出来る限り素材の味を堪能したい為、薄口醤油とネギだけのシンプルな味付けにしました。頭を割って汁に入れようと思いましたが先に紹介したように、頭がとても硬く、包丁では切れそうになかった為断念。そのまま使用しました。上品な出汁が出て、色んな味付けをせずともとても美味しかったです。

 

 スーパーの鮮魚コーナー等ではあまり見かけませんが、地域の朝市などでは見かけることもあるようなので、見つけた際には、是非食べてみてください。

 

魚類展示課 柿野敦志

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