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いままでありがとう!~数字で見る初代活魚運搬車の軌跡~

 私たち展示スタッフには、海響館誕生以来一緒に働いてきた大切なパートナーがいました。しかしそのパートナーは2021年3月16日、ついに海響館から引退。スタッフ誰もが涙をこらえながら後ろ姿を見送ったパートナーの名は・・・初代活魚運搬車!!水槽を搭載し、水の生き物を輸送する働くクルマ。今回のお魚探検隊では、スタッフと共に数々の「仕事」をしてきた初代活魚運搬車の活躍を、数字をキーワードにご紹介しましょう!

 

 

「20」

 魚を運び続けて約20年!初代活魚運搬車が誕生したのは2001年。21世紀が始まり、小泉政権が発足、渋谷の街を「ガングロギャル」が闊歩し、今年33歳になる私(筆者)はまだ中学生・・・そんな年に、海響館オープニングスタッフが知恵を集めて造った世界に一台の車です。約3トン(軽自動車3台分!)の水に生き物を入れて輸送でき、各部はサビに強い素材でできています。安全な生物輸送のためのしくみも満載。走行中も水をきれいにするろ過水槽、水温を適正に維持するためのヒーター・クーラー、運転席から水槽を観察できる水槽内カメラ、これらを動かす発電機などが搭載されています。

 

 

「300595」

 走ってきた距離は300,595km!実に地球約7.5周分を走り抜けた計算!こんなに走り回って、何をしていたの・・・?気になりますよね?活魚運搬車の主なお仕事は、各地の漁港や海・川から海響館へ生き物を運ぶこと。時には他の水族館へ引っ越す生き物を送り届けたり、遠方から飛行機でやってきた生き物を空港までお迎えに行ったりと、多彩な任務をこなしてきました。こうして20年間走り回った結果がこの数字!

 

「32」

 制覇した(目的とした所、走り抜けたことがある)都道府県は実に32!東はアンコウを受取りに茨城県へ、南は沖縄県に及びます。海を渡って与論島や沖縄本島、更には海外の水族館にも生き物の採集や受取のために出向いていますが、このときはフェリーに乗って海を渡っています。一日の移動距離は時に数百kmにも及ぶことがあるため、大抵の場合はスタッフが二人乗り合い、交代で運転していました。

 

 

「300万以上」

 輸送した生き物の数は300万尾以上!どんな生き物を運んできたのかを調べるべく出動回数の割合を調べると・・・。上位には一気にたくさんの個体を運ぶイワシの仲間、フグ水族館の誇りをかけ、行ける限り受取りに走っていたフグの仲間、体が大きなサメ・エイ類が並びます。そして忘れてはならないのが、県内各所の漁師さんから頂いた地元の海の生き物たちの輸送。300万という数字を見ながら、本当にたくさんの命を預かって走っていたんだな、と感じています。

 

 

 活魚運搬車の活躍はまだまだ続く!

 そんな初代活魚運搬車も、時の流れには勝てず。車体の中心を支える鉄骨のサビと経年劣化のため、引退を迎えることとなりました。お別れの日には運んだ生き物たちのこと、輸送道中の思い出などなどが頭をよぎり、目頭が熱くなりました。しかし、活魚運搬車の活躍はまだまだ続きます!実はこの春、二代目活魚運搬車がデビュー!今後、「二代目」の仕事ぶりもお知らせします。海響館の展示をご覧になる際は、是非縁の下の力持ち、活魚運搬車のことを思い出してくださいね。

 

 

魚類展示課 荻本啓介

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