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「泳がない」クラゲ

 皆さんは「クラゲ」と聞くと水中をふわふわと泳ぐ姿を思い浮かべると思います。しかし、実はクラゲの中にはあまり泳がない種類や全く泳がない種類がいるのです。今回はそんな「泳がない」クラゲを紹介していきましょう。

 まずはサカサクラゲ。その名の通り傘を逆さまにして、ほとんどの時間を海の底で泳がずに生活しています。自らプランクトン等を捕らえて食べますが、体内に褐虫藻(かっちゅうそう)という藻類が共生しており、光合成によるエネルギーをもらっています。

 

 次にカギノテクラゲ。大きくなっても傘径数cm程度の小型種で、その名のとおり先端が鍵状に曲がった触手をしており、まれに泳ぎますが海藻等に付着していることが多い種類です。刺されると入院してしまうことがあるほど強い毒をもっているので、海水浴等の際には注意が必要です。

 

 続いてハイクラゲの仲間。何と触手の先が吸盤状になっており、「這う」ようにして移動し全く泳ぎません。傘径数mm程度と小型の種類が多く、なぜ泳がない形態になったのかは定かではありません。季節によっては、海響館の関門海峡潮流水槽のガラス面に大量に付着していることがあります。

 

 最後は、ホントにクラゲ?と思ってしまうヘンテコな形をしたソコキリコクラゲムシ。切子グラスのような美しい模様をしていますが、形はまるで猫耳のようです。先端から長い触手が伸び、エサを捕らえます。ソコキリコクラゲムシは、刺胞動物(しほうどうぶつ)と呼ばれる毒針を持つクラゲ類とは違う有櫛動物(ゆうしつどうぶつ)の仲間に分類されています。有櫛動物には兜のような形をしたカブトクラゲ等、浮遊する種類が多く知られていますが、本種は海底に付着して生活しています。

 

 いかがでしたか?泳がないクラゲといっても様々な種類がいるのです。さらに、皆さんがよく知っている「泳ぐ」クラゲにも、一生のうち「ポリプ」と呼ばれる、イソギンチャクのように岩などにくっついて生活する時期があります。ぼんやりとしかイメージしていない生き物を改めてよく調べてみると新たな発見が隠されているかもしれません。

 

 現在、世界に約3000種類のクラゲが知られていますが、まだまだ見つかっていない種類が多くいることでしょう。気になった人は是非調べてみて下さいね。

 

魚類展示課 石橋將行

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